「首都圏にある家が300万円で購入できました」と聞いたら驚く人もいるかもしれませんが、このような物件も出回っているのが事実です。
どのような物件なのでしょうか?
税金の滞納者が物件所有していた場合は、物件を差し押さえることがあります。差し押さえた物件は、公売物件として入札形式で売却されるのです。
競売物件と同じで競りにかけられて、最も高い入札金額の人が落札できます。公売物件も不動産購入方法の1つで覚えておくと便利です。そのため、公売物件の入札に参加するメリット・デメリットについて、理解をしておきましょう。
目次
公売物件とは
公売物件とは、税金の滞納処分として差し押さえた物件を法の規定により売却して、税金に充てるものです。入札で公売物件を売却します。公売物件の売却に関しては、各市区町村で異なるため、不動産購入を希望するエリアを管轄する市区町村のホームページを確認したり、関係部署にお問い合わせしたりしてみてください。
公売物件の入札に参加する方法
公売物件は、法の規定に沿って売却する物件で、市場価値よりも安く購入できることが魅力となっています。不動産購入方法の1つであるため、公売物件の入札に参加してみたい方もいるでしょう。実際に、どのような流れで入札は行われるのでしょうか?ここでは、公売物件の入札に参加する方法をご紹介します。
1.国税庁ホームページで公売物件情報を確認する
公売の日の10日前に国税庁ホームページで公売条件(日時・方法・物件詳細情報・留意事項)が掲載されます。物件価格に関しては3日以内に掲載されます。
また、公売物件の入札には参加条件が定められていることがあり、場合によって必要書類を提出しなければいけません。そのため、買受適格証明書など必要書類を事前に準備しておきましょう。
参考:国税庁「公売情報」
公売物件の入札参加に必要な「公売保証金」
国税庁ホームページで入札したい公売物件を見つけた場合は、物件価格の1/10以上の公売保証金を用意しなければいけません。公売保証金を納付した人が、入札に参加することができます。入札の結果、落選した場合は全額返還されるので安心してください。また、落札できた場合は、購入金額に充当できます。
2.公売物件の入札に参加する
必要書類と公売保証金を提出して、入札に参加します。係員の説明を良く聞いた上で入札を行いましょう。入札金額が読み上げられていき、1番高い金額で入札した人が落札できます。見積金額より低い金額での落札はできないので注意してください。
3.公売物件を購入する
売買期限までに代金を納付する必要があります。期限までに代金を支払えない場合は、キャンセルとなって公売保証金は返還されません。必ず、期日を守るようにしましょう。
また、落札後にキャンセルする場合は公売保証金を手放さなければいけません。そのため、本当に購入意志があるかを確認した上で、公売物件の入札に参加しましょう。
4.有権移転の手続きをする
登記に必要な書類や費用を用意して、所有権移転の登記手続きをします。法務局に申請書類を提出して、登記費用を支払えば1週間程度で所有権移転登記が完了します。
公売物件を落札するメリット
公売物件の入札に参加する際の流れについて紹介しましたが、投資用物件として購入すれば、どのような効果が見込めるのでしょうか?ここでは、公売物件を落札するメリットについてご紹介します。
市場価値より物件を安く購入できる
一般的な不動産売却における不動産販売価格は、不動産市場と売主の希望が加味されて設定されますが、公売物件は法律に沿って価格が決められます。そのため、通常の不動産価格の7割程度に金額が設定されていることが多いです。公売物件は入札形式のため、提示価格以上に跳ね上がることもありますが、市場価値より物件を安く購入できることもあります。
諸費用を安く抑えられる
公売物件は、不動産会社を経由しないため、仲介手数料を支払う必要はありません。不動産仲介手数料は物件価格の3%程度かかります。2,000万円の物件を購入する場合は、60万円程度の仲介手数料を支払わなければいけないのです。
しかし、公売物件は仲介手数料が不要のため、これらの諸費用を安く抑えられます。(※公売を不動産会社に委託している場合は、仲介手数料が発生するので注意してください。)
市場に出回っていない物件が購入できる
一般的な不動産売却では、売主が不動産会社と媒介契約を締結して、不動産売却を任せます。不動産売却を担当することになった不動産会社は、ポータルサイトなどを活用して購入希望者を募ります。このように市場に出回った場合、優良物件であれば、すぐに買い手が見つかります。長期間、市場に出回る物件は妥協しなければいけない箇所が多いです。
しかし、公売物件は不動産市場に出回っていない物件を購入することができます。上手くいけば、高利回りが実現できる物件に巡りあえるかもしれません。
公売物件を落札するデメリット
公売物件はメリットだけではなく、デメリットもあるため注意してください。実際に、どのような点に注意するべきなのでしょうか?ここでは、公売物件を落札するデメリットをご紹介します。
滞納金を代わりに負担しなければいけない
公売物件が区分マンションの建物であった場合は、管理費用や修繕積立金、駐車場代の滞納金がないかを調べておきましょう。滞納金がある場合は、落札者が代わりに負担しなければいけません。
そのため、公売物件を落札する場合は、現況調査書や物件評価書、物件明細書の書類を確認して、入札以外の費用が必要になるかどうかを確認しておくことが大切です。
瑕疵担保責任が発生しない
中古物件を購入する場合は、売主側と買主側で瑕疵担保責任について決めていきます。物件に瑕疵が見つかった場合に、どちらが負担するべきかを決めていくのです。本来であれば、物件購入者は、良好な状態の物件が提供されていると信頼して購入を決意するため、物件に瑕疵が見つかった場合は売主負担となります。
しかし、公売物件を落札する場合は瑕疵担保責任が発生しません。物件に瑕疵が見つかった場合は、自己責任となるので注意してください。
法的なトラブルに発展する可能性がある
公売物件に残留物がある場合があります。所有権移転の登記手続きをすると建物に関する所有権は移転しますが、残置物の所有権は移転しません。勝手に残置物を処分してしまうと不法行為に該当して罰金対象になるかもしれません。
また、繰り返しになりますが、管理費や修繕積立金を滞納していた場合は、代わりに支払わなければいけないため注意してください。
注意事項を把握していればお得な物件に巡り合うチャンス
今回は、公売物件の入札に参加する方法をご紹介しました。公売物件は、市場価格の7割程度になっていることが多いため、上手に落札できればお得に物件を購入できます。また、不動産仲介手数料などの諸費用も省けます。
とてもお得な不動産購入方法ですが、内見ができなかったり、占有者が修繕積立金や管理費を滞納していた場合は、負債も引き継ぐことになります。瑕疵担保責任もないため、物件に欠陥があった場合は、すべて自己責任になります。
このように、さまざまなメリット・デメリットがありますが、注意事項さえ把握して対策しておけば、市場に出回っていない物件に巡り合えるチャンスです。そのため、不動産購入方法の1つとして覚えておきましょう。
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