賃貸経営において、サブリースは便利な仕組みです。賃貸経営に興味はあるけれど、あまり時間を割くことができないという方には特におすすめです。
しかし残念なことに、ニュースではサブリース契約のトラブルが多く報道されてしまっているのも事実です。消費者庁も注意喚起を呼び掛けています。
そのため、「サブリースに興味があるけれど、不安…」という方もいるでしょう。
サブリース契約について理解を深めておけば、そのような心配は不要です。ここでは、サブリース契約について分かりやすく解説し、委託管理との違いについてもご説明します。
目次
サブリース契約とは
サブリース契約とは、サブリース会社による一括借り上げでの家賃保証制度のことをいいます。サブリース会社は、オーナーの物件を一括で借り上げて、入居者に又貸し。
大家としては、家賃の集金や手続き、管理などサブリース会社にお任せでき、空室になった場合も一定の家賃収入が得ることができます。
サブリース契約のメリット
サブリース契約には、4つのメリットがあります。
1.空室リスクを避けられる
契約期間中は安定した収益が得られることが最大のメリットです。不動産投資は、空室が発生してしまうと家賃収入が下がってしまいます。
しかし、サブリース契約は家賃保証がされているため、空室や家賃滞納が発生した場合でも、定められた期間に一定の家賃収入を受け取ることができるのです。そのため、不動産投資の空室リスクなど、心配をする必要はありません。
2.物件管理業務を委託できる
入退去手続きや物件管理を委託できるため、手間を省くことができます。管理業務は、入金管理・入居者対応・入退去手続きなど多くの業務を行わなければならず、想像以上に大変です。委託費用は発生してしまうもののプロの管理会社に管理業務を委託できることも大きなメリットです。
3.確定申告の手間が省ける
通常の賃貸経営では、各部屋の家賃や契約情報ごとに確定申告を行わなければいけません。アパート1棟を自分自身で経営する場合、確定申告のデータ入力量は莫大となります。
しかし、サブリース契約であれば、オーナー様とサブリース会社の単体の賃貸契約のみとなるので、部屋ごとの確定申告の手続きをする必要はありません。このように、確定申告の手間が省けるということも嬉しいメリットとなっています。
4.相続税対策には有効的である
相続税評価減は原則として、相続発生日に賃貸経営していなければ適用されません。国税庁が示している基準では、相続発生日の前後1ヵ月程度の空室でも、相続税評価減の対象にはならないのです。
しかし、サブリース契約は一括借り上げのため、空室リスクが生じません。そのため、相続評価減をフルに適用することができて相続税対策として高い効果が見込めるのです。
サブリース契約の3つのデメリット
サブリース契約のメリットをご紹介しましたが、デメリットもあります。ここでは、サブリース契約のデメリットをご紹介します。
1.家賃が決められない
家賃保証の場合は、サブリース会社が家賃を設定します。空室率が高い物件であれば、2年の契約更新時もしくは契約期間中にサブリース会社側から、一方的に大幅な家賃の値下げが打診されてしまうこともあります。そのため、自分で家賃を設定したいという方は、サブリース契約は不向きです。
2.収益性が下がる
サブリース契約では、家賃収入の10%~20%がサブリース会社の収益になります。そのため、通常の家賃収入よりも収益性が下がってしまいます。また、礼金や更新料もサブリース会社の収益となるため、通常の賃貸経営と比較すると収益性が下がってしまうので注意が必要です。
3.入居者を選べない
物件の管理業務はサブリース先の不動産会社が行うため、オーナーは入居者審査を行うことができません。不動産会社もトラブルを避けるためにも属性の良い入居者を選びますが、どうしても空室を避けたいがために、入居審査を緩くしてしまうこともあります。
そのため、自分で入居者を選びたいというオーナーは、サブリースは不向きです。
サブリースと委託管理の違い
賃貸経営は、サブリース会社だけが選択肢ではなく、委託管理の選択肢もあります。この2つの管理方法の違いはなんでしょうか?ここでは、サブリースと委託管理の違いを比較してご紹介します。
サブリース | 委託管理 | |
手数料 | 10%~20% | 4%~8% |
家賃決定 | サブリース会社 | オーナー |
空室保証 | 有 | 無 |
家賃滞納保証 | 有 | 無 |
入居者トラブル処理 | 有 | 有 |
退去手続き | 有 | 有 |
建物維持管理 | 有 | 別途契約 |
入居者更新手続き | 有 | 有 |
礼金 | サブリース会社 | オーナー |
更新料 | サブリース会社 | オーナー |
敷金 | サブリース会社 | サブリース会社 |
契約期間 | 20年 | 2年 |
家財保険 | 有 | 有 |
サブリース契約時に注意したい5つのポイント
サブリース契約は、宅建業法の対象外です。そのため、不動産会社が重要事項を説明してリスクを告知するような必要はありません。その結果、サブリース契約の注意点を確認しないまま、契約を締結してしまうオーナーが続出しているのです。
トラブルに巻き込まれないためにも、契約時に注意しておきたい6つのポイントを押さえておきましょう。
1.保証賃料の設定
保証賃料は、サブリース会社によって異なります。保証賃料は通常の賃料より10%~20%低く設定されています。その差分がサブリース会社の利益となるわけです。この保証料は一律で定められているわけではないため、割合について確認しておきましょう。
2.現状回復費用
一般的に、入居者が退去した場合の設備の修繕費はオーナー負担となります。しかし、契約内容によって異なるため、現状回復費用の取り決め事項も確認しておきましょう。
3.解約条件
サブリース契約を締結すると、簡単に解約することはできません。突然、契約を解約する場合は、高額な違約金や厳しい条件が設定されていることが多いです。
その一方で、オーナーが保証家賃料の見直しに応じなければ、サブリース会社側は契約を解除できると都合の良い条件が書かれていることがあるため、解約条項も必ず確認してください。
4.免責期間
サブリースには免責期間が設定されていることもあります。免責期間とは、新規で入居者を募集する際に、オーナーへの賃料の支払いを免除する期間のことです。
例えば、免責期間が3ヵ月で契約した場合、入居者募集の3ヵ月間はオーナーに賃料が入ってこないことになります。そのため、免責期間についても確認しておきましょう。
5.会社の信頼性
大手企業への集団提訴や詐欺まがいな手法が話題となり、大きな社会問題として取り上げられたことがあるサブリース契約。そのため、信頼できる会社選びをしなければいけません。
実績を公開している会社に相談することはもちろん、契約内容の説明はオーナーに配慮したものかを見極めましょう。また、サブリース会社が倒産する可能性もあるため、サブリース事業以外に収入源となるビジネスを持っているかも確認しましょう。
サブリース契約に潜むリスクに関する説明義務はない
サブリース契約は、宅建業法の対象外となります。そのため、契約に潜むリスクに関する説明義務はありません。不動産売買契約では、重要事項説明が義務付けられていますが、そのような義務はないため、トラブル回避するためにも契約時に注意しておきたい項目は必ずチェックしておきましょう。
まとめ
今回は、サブリース契約についてと、委託管理との違いについてご紹介しました。サブリースを上手に活用すれば、退去後の入居者募集や入居者のクレーム対応などの賃貸管理業務を業者に委託できます。そのため、不動産投資のノウハウがなくても賃貸経営ができます。
しかし、サブリースのトラブル事例も増えているため、運営する前には、サブリースに関する知識を深めておきましょう。
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