公務員が資産管理法人を設立する場合の注意点とポイント

両親から相続した不動産で賃貸経営をしている公務員の方は多いです。実際に、両親から相続を受け継ぐ人は多いため、一定規模内の賃貸経営であれば副業禁止規定に該当しないとされています。

しかし、賃貸経営を始めるうちに、個人名義ではなく法人名義で賃貸経営を始めたいと思う方も出てくるようです。実際に、法人名義で賃貸経営をした方が、経費の幅が広がり高い節税効果が見込めて、資産の生前贈与や相続時も節税できるなどの恩恵が受けられます。

そこで、気になることと言えば、公務員は資産管理法人を設立することができるのでしょうか?
ここでは、公務員が資産管理法人を設立する場合の注意点とポイントについて分かりやすく解説します。ぜひ、資産管理法人を検討している方は、この記事を参考にしてみてください。

公務員が資産管理法人を設立する場合の注意点

実家の相続について話合う親子

実家から相続した物件で賃貸経営をする公務員もいます。実際に、一定規模の不動産投資は副業に該当しません。この不動産投資による収入を資産管理法人で管理したいと思う方もいると思いますが、資産管理法人を設立する場合は注意点もあるので気を付けてください。

資産管理法人の設立は副業禁止規定に抵触する

不動産投資事業のために資産管理法人の設立を検討する方も多いですが、公務員の方が資産管理法人を設立すると副業禁止規定に抵触してしまいます。会社を営んだり、役員に就任したりすることは副業禁止規定で禁止されており、抵触すると懲戒処分が言い渡されることもあるので注意しなければいけません。

資産管理会社の設立費用がかかる

資産管理会社の形態にもよりますが、株式会社の設立費用は24万2,000円です。この費用は、市役所に支払う法定費用のことをいいます。資産管理会社を設立する際に、専門家に相談をせずに自分で手続きをする場合は法定費用の支払いだけで資産管理会社を設立できます。

しかし、法人設立の手続きは複雑なので、一般の方が自ら手続きをしようとすると壁にぶつかってしまうかもしれません。そのため、少しでも不安がある方は行政書士などの専門家に手続き代行を依頼することをおすすめしますが、代行手数料は5万円~10万円程度かかります

あらゆるものを経費で落としがちになる

資産管理会社を設立すると、さまざまなものが経費で落とせるようになります。そのため、節税対策として、あらゆるものを経費で落とすなど自身の行動が変化しがちです。しかし、公務員はそもそも給与所得控除が大きいため、必要経費を計上することはほとんどありません。

そのため、周囲から見ると「お金遣いが荒くなったのかな…?」「副業を始めているのではないか…?」と周囲が察知して、副業がバレてしまうことがあります。

公務員が資産管理法人を設立する場合のポイント

資産管理会社について専門家に相談する夫婦
公務員が資産管理法人を設立する場合の注意点をご紹介しましたが、コツを押さえることによって、副業禁止規定に該当することなく資産管理法人を設立することができます。実際に、どうすれば良いのかを確認していきましょう。

配偶者を代表取締役にする

公務員本人による資産管理法人の設立は、副業禁止規定に該当するため、配偶者や家族名義で法人化する方法が考えられます

配偶者を代表取締役に就任させれば、副業禁止規定をクリアすることができます。
しかし、配偶者を代表取締役に就任させて、発行株式の取得割合まで配偶者で設定してしまうと、銀行融資の審査が通らなくなる危険性が出てきます。

このような問題を回避するため、株式については公務員自身が100%保有する形にしましょう。

公務員を退職するまで役員報酬を受け取らない

資産管理法人を設立して、その会社から報酬を受け取ってしまうと、副業禁止規定に抵触してしまいます。そのため、公務員を退職するまでは役員報酬を受け取らないようにしましょう。万が一、役員報酬を受け取っていることが判明すると懲戒処分になってしまう恐れがあります。

そのため、配偶者の協力を得て配偶者名義の口座に報酬を振り込みながら、資産管理法人の利益をコントロールしましょう。

資産管理法人の所在地として自宅の住所を登録しない

マイナンバー制度が始まった関係で、個人情報管理が徹底化され始めています。そのため、資産管理法人の所在地に自宅の住所を登録してしまうと、法人設立したことがバレてしまう恐れがあるので注意しなければいけません。

自宅の住所を資産管理法人の所在地として登録するのは控えましょう。

可能であれば、実家の住所などを登録してみてください。実家の協力を得られない人もいるかもしれません。そのような悩みを抱えた場合は、バーチャルオフィスの住所を借りるのも手段です。

公務員が資産管理法人を設立する際に良くある質問

公務員でも資産管理法人を設立できることは理解して頂けたと思います。実際に、法人設立する際にどのような不安が出てくるのでしょうか?これらの不安を払拭すると、安心して資産管理法人を設立することができるはずです。ここでは、公務員が資産管理法人を設立する際に良くある質問をご紹介します。

Q.公務員が副業禁止をされているのは、なぜですか?

公務員は国家公務員法と地方公務員法で副業が禁止されています。公務員の収入源は、住民が支払っている税金です。そのため、公務に当たって欲しいという理由から、法律で副業が禁止されています。

[国家公務員法]
(私企業からの隔離)(国公法第103条)
職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。

(他の事業又は事務の関与制限)(国公法第104条)
職員が報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する。

[地方公務員法]
(営利企業等の従事制限)
第38条 職員は、任命権者の許可を受けなければ、営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利を目的とする私企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない

Q.資産管理法人を設立するメリットは何ですか?

個人で資産管理をする場合は、事業に直接関係する費用しか経費として認められませんが、資産管理法人ではあれば関節経費も認められるため、経費の範囲が広くなり高い節税効果が見込めます。また、役員報酬などで所得を分散することができます。

Q.資産管理法人はいくらで設立できますか?

資産管理会社の形態にもよりますが、株式会社の設立費用は24万2,000円です。これは法定費用で、会社設立で必ずかかる費用です。行政書士などに法人設立手続きの代行依頼すると、別途手数料がかかります。

正しく対策すれば公務員でも資産管理法人の設立が可能

笑顔で談笑する公務員
今回は、公務員で資産管理法人を設立する方法について解説しました。
配偶者や家族名義で資産管理法人を設立すれば、公務員法の副業禁止規定に該当しません

しかし、マイナンバー制度が導入され始めているので、法人所在地として自宅の住所を登録しないようにしましょう。
また、間接的な費用も経費計上できるからと経費で落とすのは控えてください。周囲が察知して、副業がバレてしまうことがあります。

このような点に注意しなければいけませんが、注意を払えば資産管理法人の設立は行えます。資産管理法人を検討している方は、この記事を参考にしていただき、設立準備を始めてみてください。

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