世情不安定な昨今、投資物件としてのシェアハウスの魅力を調べている方は多いです。
不動産は比較的安定した運用が見込める投資ですが、その中でもシェアハウスは通常の賃貸物件とは違う魅力があります。
この記事では、シェアハウス投資の魅力や課題について、網羅的に記事にしています。
新たな投資先をお考えの方は、ぜひこちらの記事を参考にどうぞ。
目次
シェアハウス投資で抑えておきたいポイント
シェアハウス投資にあたっての基本的な考え方を、4つのポイントに絞って解説していきます。
ルームシェアとの違い
シェアハウスは一つの家を部屋ごと複数人で共有して暮らす賃貸物件のことで、何人かの他人と家族のように暮らします。リビングやキッチン、風呂、トイレは共有スペースとなり、賃貸契約は個室ごととなっています。
共用スペースの清掃や管理は大家側が行うか、住民が交代で行う2通りのケースがあります。家具類は備え付けの場合がほとんどなので、荷物少なめに生活したい方にとってシェアハウスは最適です。
ルームシェアとの違いは、一つの部屋をシェアするか、一つの家をシェアするかの違いとなり、ルームシェアの契約者は一人ですが、シェアハウスの契約者は複数人となります。
コンセプトありの戸建て投資
シェアハウス投資はコンセプトありきで考えましょう。
人気のシェアハウスは起業家が集う、趣味人の集まり、動物が好きなど様々なコンセプトの元に運用されています。コンセプトがなければ横浜の寿町にある安い宿泊施設や、シェアハウスを名乗る簡易宿泊所と同じになってしまい、長く安定して入居してくれる良い借り手を集めるのに苦労してしまいます。
投資を通じてこだわりの住空間を提供したい、という心意気があるとコンセプトを定めやすいです。一言で言い表せるアピールポイントが欲しいところです。
共有スペースと交流の充実
魅力的な共有部と、楽しそうな交流イベントはシェアハウスの魅力の一つです。
若い世代を中心に何かとドライと見られがちな現代人ですが、実は会社以外の交流に飢えている人も多数いるのです。
人との交流をメインに据えたシェアハウスは多く、クリスマスやハロウィンなど季節のイベントを中心に定期的な交流イベントが開かれています。
コンセプトに沿ったこだわりの共有スペースで、競合物件に差をつけたいところです。
入居者満足度がカギ
一般的な賃貸物件と違いプライベートスペースが近くなるシェアハウスでは、些細なことでトラブルが起こりやすく、住民の満足度を高く維持することが、良好な運用のポイントとなります。
シェアハウスは費用が安いため、一般の投資物件に比べて空室リスクは低めですが、トラブルのため大量退去となってしまうと運用に支障が出てしまいます。
シェアハウス運用ではトラブルが起こらないよう事前に予防し、住民との細かなコミュニケーションが必要です。
時代背景とシェアハウスの需要の高まり
かつて、外国人向けのゲストハウスとしてスタートしたシェアハウスですが、2000年代に入るとコンセプトありきのシェアハウスが、日本でも定着するようになりました。
今後のシェアハウスの需要は、どのように変化していくのでしょうか。
時代背景とシェアハウス需要の高まりについて解説します。
高齢単身者の増加
現在、日本では都市部を中心に結婚しない選択をする人が増えており、社会問題化しています。1980年からの推移をみると、男女ともに深刻化していることがわかります。
さまざまな背景によって晩婚化や未婚率が高まっていると思われますが、この現状によって考えられるポイントは2つです。
- 国の後押しによる共同生活支援
- 単身高齢者が集うシェアハウスの需要の高まり
国は遅ればせながら孤独問題に取り組むべく孤独、孤立対策にむけて大臣を立てることになりました。今後は様々な孤独、孤立対策の施策が行われると思いますが、コミュニティ形成支援もその一つです。
かつて行われた住宅整備公団による団地建設にように、国の施策としてシェアハウス運用が掲げられる可能性は十分に考えられます。
都市部に田舎型コミュニティの需要
田舎のコミュニティは濃厚すぎる、でも都会のドライさは心が荒んでいく、このように考える都会人は数多くいることでしょう。都会と田舎の間くらいのコミュニティを求めている人は、かなりの数にのぼるのではないでしょうか。
最近のシェアハウス人気は、恋愛リアリティショーが火付け役と言われていますが、以前からの潜在的ニーズが顕在化したともいえます。
晩婚、未婚率の高さ、人間関係の希薄さにより、都心でのシェアハウスの需要はより高まっていくと考えられます。
経済的な理由:初期費用や家賃が割安
シェアハウスは金銭的なメリットがメインではありませんが、初期費用や家賃が賃貸物件よりも割安であることは事実です。
母子家庭の貧困が社会問題となっていますが、現在、経済的困窮者がお互いを助け合うコンセプトのシェアハウスも存在し、このようなシェアハウスは今後一定の需要を確保するようになるでしょう。
セーフティーネットとしてのシェアハウス需要も、見逃せないポイントです。シェアハウス投資のメリット・デメリット
魅力的なシェアハウス投資ですが、すべてが良いことばかりではありません。
メリットとデメリットを確実に抑えた上で投資にのぞみましょう。
メリット | デメリット |
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|
シェアハウス投資のメリット
シェアハウス投資のメリットを4つピックアップしました。
収益の最大化を狙いやすい
シェアハウスは、単位面積あたりの賃料が高くなるメリットがあります。
シェアハウスの賃料の相場は、同じエリアのワンルームとおおよそ同じ価格帯であることが多く、一般的な賃貸の不動産投資に比べてコスパ良く収益の最大化を目指すことができるのです。
空室リスクの低さ
戸建ての運用でありながら、複数人の入居者が存在するため空室リスクを分散することができます。
退去者が出た場合も、シェアハウスは初期費用が安く光熱費や家具が設置済みであることが多いため、次の入居者が見つかりやすい点も強みの一つです。
管理さえしっかりしておけば、空室に苦しむことは少ないです。
コンセプトにより競合物件との差別化が図れる
賃貸物件では、賃料や駅チカ、部屋の設備などで差別化を図り、入居者を集めますが、シェアハウスはコンセプトを前面に打ち出すことで、他の物件との競合を避けることができます。
クリエイター向け、リゾート気分、国際交流、ペットと暮らすなど、数多くのコンセプトが考えられますので、物件に合わせたコンセプト作り込むことで魅力的なシェアハウス運用を行うことができます。
シェアハウス投資のデメリット
シェアハウス投資におけるデメリットも確認しておきましょう。
大量退去がありえる
恋愛リアリティショーではありませんが、人間関係のもつれにより大量退去の可能性もありえます。
空室リスクが低めなシェアハウスですが、一気に3~4人の退去者がでると流石に厳しいです。若い男女の入居者を想定する場合は、恋愛問題が発生する可能性が高まりますので、大量退去のリスクを念頭におき、対策案を講じた運営を行いましょう。
管理に手間がかかる
共有スペースの掃除は住民が当番で担当するケースが多く採用されており、貸主側が巡回するのは、週2~3回程度です。消耗品などの補充は貸主側が一括で行いますので、賃貸物件に比べると手間がかかります。
入居者の満足度を維持するためにも手間ではありますが、こまめな管理が必要です。
入居者に共有スペースの掃除を任せる事については、共同体の意識を高めることに有効なので、積極的な参加を促しましょう。
入居者同士のトラブル
入居者同士のトラブルは、男女間の恋愛問題、喧嘩、所有物の紛失、金銭トラブル、など人間が存在する事でどこでもありえるトラブルです。共有スペースを交えて人が交流するので、人間関係のトラブルは発生しがちです。
対策としては、オーナーが相談窓口になることです。話し合いで解決することが多くありますので、相談窓口は必ず設けておきましょう。
シェアハウス投資の利回り
シェアハウス投資の利回りは一般賃貸物件よりも高いと言われていますが、実際に検証してみましょう。
単身者の賃貸物件よりも高利回り
(年間収入-年間支出)÷物件価格×100
年間収入は入居者から得られる家賃や共益費となり、支出はシェアハウスの管理費となります。
「1年間の維持管理費」には、管理会社に支払う管理費、建物や室内、設備のメインテナンス費用、共用部の光熱水費、入居者募集や退居にかかる費用、火災保険料などが含まれます。
一般的な賃貸物件の利回りは平均10%程度で、東京のワンルームの平均利回りは4%台となっていますが、シェアハウスの場合、概算の計算上では平均15~20%となっています。
日本不動産研究所 第 41 回 不動産投資家調査 2019年10月
リノベーション費用や場所に対する賃料やかかる諸経費、年間支出によって異なりますが、投資対象としての魅力は十分にあるのではないでしょうか。
シェアハウスにはコンセプトが必須
シェアハウスの人気は安いからではなく、オシャレに共同生活を送りたいニーズに応えているからです。オシャレに生活したいけど低収入な方は一定数存在します。
したがって、オシャレ志向の層へ確実に刺さるようなコンセプトがなければ、低い家賃を売りにした安宿経営になってしまいます。
運用計画をもとに、しっかりとしたコンセプトを打ち出すようにしましょう。
ここでは、代表的なコンセプト事例を確認して起きましょう。
国際交流型
日本にいながら、色々な文化に触れたい方向けのシェアハウスです。
今も昔も語学への興味は一定数存在し、海外へ目を向けたいと思う方は多く存在します。そんな方へ向けて、より具体的な国際交流のコンセプトを打ち出せば、きっとニーズに応えることができます。
交流イベントとして、具体的にどんなことをやるのか、詳細を伝えることがポイントです。
趣味共有型
同じ趣味を持った人たちが集まって暮らすというコンセプトのシェアハウスです。
アウトドアが好きな人が集まるシェアハウスでは、共有スペースに趣味に関する書籍やDVDが揃えられており、アウトドアブランドからの試供品が提供されているシェアハウスもあります。
DIY趣味の人たちが集まるシェアハウスでは、共有スペースに工房があり壁紙を好みの色に変えたり、床にフローリングを張ってもOKというところもあります。
趣味を存分に味わえるシェアハウスは、着実に人気を獲得しつつあります。
生活支援型
核家族化が進む現代では、母子家庭の貧困が社会問題になっています。待機児童問題も重なり、仕事と子育てを両立するのは至難の技といえます。
シングルマザーの子育てと仕事を支援するシェアハウスでは、同じ境遇の人たちが集まることで悩みを共有できたり、相談相手になるという精神的な助け合いだけでなく、チャイルドケア専門のスタッフが週に数回、子供の相手をするために訪問してくれるサービスがあります。
今後、高齢独身者が増加していく過程で、生活支援型のシェアハウスはさらに需要が高まりが見込めます。
起業家育成型
起業家を輩出するための私塾のようなシェアハウスもあります。
独立するための専門家によるセミナーやビジネスプランのコンテストが開かれ、コンテストに勝てば必要な資金が提供される仕組みです。投資家やベンチャーキャピタルが出資して運営されているシェアハウスで、本気で起業を目指す人にとっては切磋琢磨できる最高の環境です。
シェアハウスの住民間で発生したトラブル事例
シェアハウスでよく発生するトラブルを確認しておきましょう。
自分の食べ物がなくなっている
家族間でもよくあるトラブルですが、あとで食べようと思って取っておいたものがいつの間にかなくなっている、というトラブルです。1回だけで即トラブルにはなりませんが、慣習化し、何かのきっかけで爆発するパターンはよくあります。
ルールの一つに「自分の食べ物や飲み物に名前を書く」という文言を付け加えておきましょう。
金銭トラブル
金銭の貸し借りによるトラブルです。同じ家の住民とはいえ、他人間でのお金の貸し借りは避けないとトラブルの元になります。
貸し借りの他にも、部屋や共有スペースでの窃盗も起こりえます。
お金、貴重品の管理は自己責任の元、しっかりと行うように注意喚起が必要です。
人間関係の悪化
異性間の恋愛トラブルや、喧嘩などによる人間関係の悪化によるトラブルもよくある事例です。
子供の喧嘩と違い、大人の喧嘩は仲直りできないケースが多々あります。前途しましたが、人間関係のトラブルは大量退去につながる可能性もありますので、仲裁に入れる仕組み作りが重要なポイントとなります。相談窓口を設けましょう。
騒音
シェアハウスは個室があるとはいえ、夜中の共有スペースでの話し声などで騒音トラブルになることがあります。
入居者の生活サイクルが夜型と朝方に分かれてしまうと、眠れないという苦情が発生し、騒音トラブルがさらに深刻化することも考えられます。
騒音については、管理側でも十分に気を使いましょう。
勧誘
人が集まるところではありがちですが、宗教やマルチ商法の勧誘トラブルも多い事例です。
寝食をともにするシェアハウスで執拗な勧誘が行われる事は、悪夢でしかありません。禁止事項として通知していても、トラブルが発生するようであればペナルティを課すことも考えましょう。
孤独問題とシェアハウスの需要の高まり
一過性のブームと見られがちなシェアハウスの人気ですが、時代背景によって今後は社会インフラとしての機能が期待される時代が来ると予想されます。
特に都市部の人は慢性的なコミュニケーション不足により、新しい交流を常に求めている層が一定数存在します。
シェアハウス投資は賃貸物件の投資と違い、綿密なターゲットの設定からコンセプト設計を行うなど、面白みがある分、純粋な投資に比べると少しコスパは悪いです。
住民間のトラブルに対応したり、入居者を募集したりなど手間もかかりますので、副業の投資を考えている方には向いていません。とはいえシェアハウス投資は社会貢献度が高く、高利回りが期待できる魅力的な投資ですので、すでに不動産投資で安定基盤がある方は、次の投資先として検討してみてください。
シェアハウス投資は有意義なコンセプトの元に運用できれば、収益だけを追求する賃貸物件の投資とは一味違う充実感が得られます。
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