不動産投資物件の繰上げ返済“しない“、効果が低くリスキー。
[chat face="yuuji.png" name="ユウジさん" align="left" border="blue" bg="blue"] 今のところ順調に運用できて、手元資金も残り始めているんだけど繰上げ返済ってしたほうがいいのかな?単純に損得勘定でメリット・デメリットが知りたい [/chat]

不動産投資が順調に進んで現金が手元に残り始めると、この資金をそのままにしておいていいんだろうか?という疑問が生じます。
繰上げ返済に充てるのか、新たな運用を考えるのか、現金として手元に置いておくのか、選択肢が別れるわけです。

事業拡大を考えるのであれば、”繰上げ返済をしない”という答えが正しい選択となります。
ただし、別の運用方針であれば、結論は変わってきます。

繰上げ返済をするべきかどうか悩んでいる方は、この記事で判断基準が明確になります。

運用拡大を考えるなら投資物件の繰上げ返済はしない

不動産投資の繰上げ返済について、結論からお伝えすると運用を拡大する方針なら「しない」、これ以上拡大しないなら「してもいい」(”する”ではない)という答えになります。

元々低金利の不動産投資ローンを繰り上げ返済しても、効果はほとんどないからです。手元に資金が残り始めたら、修繕費用など急な出費に対応できる分だけ残して、新たな物件に投資したほうが費用対効果が高いのです。詳しく見ていきましょう。

金利が低い場合は繰上げ返済の効果が低い

現在の借入金利と投資物件の平均利回りを確認してみます。
不動産投資のローンを提供している主な金融機関の金利は以下の通りです。現在お借り入れ中の方も、おおよそこの金利ではないでしょうか。

金融機関名 金利 返済期間
SBIエステートファイナンス 変動金利2.40~9.50% 1~25年
セゾンファンデックス 変動金利2.6%~3.6% 1~25年(最長)
オリックス銀行 変動金利2.675~3.675% 1~35年
三井住友信託銀行 固定金利1.73~2.75% 1~35年

※2020年12月時点の金利です

参照:SBIエステートファイナンス
参照:セゾンファンデックス
参照:オリックス銀行
参照:三井住友信託銀行

平均的におおよそ1~2%の金利でローンを組んでいる方が多いです。次に、投資用不動産の価格から割り出される表面利回りを見ていきます。

賃貸住宅一棟(ワンルームタイプ)
エリア 表面利回り
東京 城南地区 4.2%
東京 城東地区 4.5%
横浜 4.9%
大阪 4.8%
神戸 5.2%
京都 5.2%
名古屋 5.0%
福岡 5.1%
札幌 5.5%
仙台 5.5%
広島 5.7%

※2020年5月時点のデータです

参照:日本不動産研究所

一例として首都圏のワンルーム表面利回りを掲載しました。
繰上げ返済を行った場合、銀行からの借入金利1~2%分がプラスとなりますが、新しい物件に投資した場合、利回り分の平均4%程度がプラスとなる計算です。土地や物件の種類、年数によっては更に利回りが高いケースもあります。運用拡大を考えている場合は繰上げ返済をせずに新しい物件に投資したほうがいい、ということになります。

新たな投資への機会損失を生む

手元の現金を繰上げ返済に使ってしまうと、魅力的な物件や投資案件が見つかったとしても、資金がありません。新たな投資の機会を見送ることになるのです。前途したとおり、元々金利が低いところに繰上げ返済をしても効果は小さいため、次の投資資金として手元に残しておいた方が、新しい投資チャンスにも柔軟に対応できます。

手元の現金が少なくなるのは危険

修繕費などの急な出費や、災害リスクなどを考えて、不動産投資の運用は手元の現金が必要となるケースがあります。繰り上げ返済に充ててしまうと、必要な時に手元の現金がない、という事態に陥るのです。想定内、想定外の事態に備えて、手元に現金を残しておくことが重要です。

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繰上げ返済を検討するなら

投資の拡大を目指す場合は、繰上げ返済をしないほうがいいという事がわかりました。とはいえ、状況次第では繰上げ返済をしたほうがいい場合もあります。まずは繰上げ返済の種類から見ていきましょう。

期間短縮型

毎月の返済額はそのままに、返済期間を短くする方法です。返済期間が縮まるために、短縮された期間の利息がそのまま軽減されます。借入金利が高く、早めに繰上げ返済を行うとより効果が高まります。

返済額軽減型

返済期間はそのままに、毎月の返済額を減らす方法です。毎月の出費を減らすことができるので、精神的に少し楽になり、家計の予算を組み直すことができます。

総支払額で判断すれば期間短縮型のほうが効果が大きい

同じ時期に同じ金額を繰り上げ返済するのであれば、利息を軽減する効果は「期間短縮型」のほうが効果が大きく表れます。よって、返済額を少なくしたい方は期間短縮型を選択するべきです。ただし、毎月の返済額は変わらないため、完済するまでメリットを感じにくいです。その反面、毎月の返済額が安くなる返済額軽減型の方が、安くなった分を子供の教育費に充てたり、返済中もメリットを感じやすいです。

繰上げ返済のメリット

繰上げ返済のメリットは見えない未来のリスクを軽減できる点です。将来の負担を余裕がある内に解消しておく理由がある場合は、繰上げ返済を検討しましょう。

金利上昇リスクの削減

現在ゼロ金利状態が続いており借入しやすい状況が作られていますが、今後金利が上昇すると返済額が増えてしまいます。そうなると当初の返済計画に狂いが生じてしまいます。
変動金利を選択している、短い固定金利を選択している場合は、考えられるリスクとなります。

精神的な負担の軽減

25年や35年の長いローンを組むと、先々のことを考えただけでうんざりしてしまいます。繰上げ返済を行えばそんな精神的負担を軽減することができます。

与信枠の回復

不動産投資ローンという借金を前倒しで減らしておけば、住宅ローンや車のローンなどの審査に通りやすくなります。とはいえ、審査では頭金の額も有利にはたらきますので、手元の現金をそれなりに残して与信枠を回復させるほうががよいです。

繰上げ返済のシュミレーション

繰上げ返済を計画するときは、事前にシュミレーションを実施しましょう。現在の総返済額と繰上げ返済を行った場合の、総返済額を比べることができます。
シュミレーションツールは、金融機関や色々なサイトで提供されていますので、実際に結果を確かめてみてください。思いのほか、パフォーマンスが低いことがわかります。

参考:keisan 生活や実務に役立つ計算サイト

結論:繰上げ返済は最善の手段とはいえない

不動産投資の領域では、繰上げ返済は良い手段ではありません。理由は以下の通りです。

  • 低金利を繰上げ返済してもパフォーマンスは低い
  • 手元資金で新しい投資物件に投資したほうが得になる
  • 水害などの災害に備えて手元資金を残しておく

ゼロ金利政策下では、不動産投資ローンの金利は1%~2%となっています。運用が順調で現金が貯まり始めている場合は追加の投資物件を検討しましょう。

ほぼ毎年起こる水害に罹災すると、一時的に修繕費用が必要となります。資産価値の保全のためにも、一定の資金は用意しておくべきです

繰上げ返済は見えない未来に対してのリスクヘッジとなりますので、消極的な運用ともいえます。様々な事情で繰上げ返済を選択する場合は、支払い総額を減らすことができる期間短縮型をおすすめします。

「借り入れ」というネガティブな思い込みよりも、冷静に金利を見て判断し、効果的な不動産運用をしていきましょう

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