土地や建物の売買取引をする場合は、不動産の概要や所有権や抵当権などの権利関係情報、不動産登記情報を正しく読めなくてはいけません。正しく読めなくて、とても恥ずかしい思いをする前に、勉強をして正しい知識を身につけておきましょう。
例えば、法務局で登記簿取得をする際にも、土地の数え方を間違えてしまうと恥ずかしい思いをしてしまうでしょう。
一筆の土地という言葉を目にしたことがあると思いますが、どのように読むのでしょうか?なぜ、一筆の土地と数えるのでしょうか?
不動産登記について知識を深めたいと思っている方は、ぜひ、この記事を参考にしてみてください。
目次
一筆の土地とは
一筆の土地(いっぴつのとち)とは、登記簿謄本に記載されている一つの土地のことをいいます。筆とは登記簿上の土地の単位なのです。この単位ごとに地番が付けられます。土地の数え方は、1筆(いっぴつ)、2筆(にひつ)です。
また、土地の境界線のことを筆界(ひっかい、ひつかい、ふでかい)といいます。この筆界は、法律によって定められている境界線で公法上の境界とも呼ばれているので、個人の意志で勝手に境界線を変更することはできません。
土地の数え方の由来
土地を一筆と数えるようになった由来には諸説がありますが、1582年に豊臣秀吉が行った太閤検地の際に検地帳と呼ばれる土地の公募を編成し、その土地の所在地・面積・所有者情報を筆で書きおろしていたことから、一筆と数えられるようになったようです。
また、明治時代に土地の私的所有権が確立した地租改正の条文では「一筆毎ノ、一筆トナス地」と記載されているので、明治時代には既に筆の単位が決定的であったことが伺えます。
合わせて覚えておきたい用語集
一筆の土地と合わせて覚えておきたい用語として「分筆」と「合筆」があります。
分筆とは
分筆は土地を分割して登記仕直すことをいいます。分筆すると各土地に新たな地番が付けられます。分筆をした方が良い場合は、以下のようなケースです。
[分筆が必要になるケース]
- 土地の一部を売買するとき
- 土地の一部の地目が異なる場合
- 相続した土地を相続人で分けるとき
- 共有の土地を分筆して、単独所有に変えたいとき
- 融資を受けて家を建てる場合に利用しない土地を分ける場合
合筆とは
合筆とは、隣接する数筆の土地を一つの筆の土地に法的に合体させることをいいます。所有者が登記所に土地合筆登記をすることで認められます。しかし、合筆するためには相互の土地が接続していなければいけません。
[合筆が必要になるケース]
- 登記簿取得料などの手数料を削減したいとき
- 権利書を一つにまとめたいとき
一筆の土地に関して良くある質問
最後に、一筆の土地に関して良くある質問をご紹介します。
Q.一筆の土地に2棟の建物は建てられますか?
建築基準法では、一建築物一敷地の原則が定められています。しかし、この敷地は不動産登記簿上の一筆の土地を指しているわけではありません。そのため、それぞれの敷地が道路に接しており、建ぺい率などの最低限の要件を満たしている場合は2棟建てることができます。
しかし、市街化調整区域では、分筆しないといけないケースもあるので、詳しいことは行政に直接確認してみてください。
Q.一筆の土地の一部を売ることはできますか?
はい。一部の土地を売却することはできます。しかし、一部の土地の不動産登記をしなければいけないため、分筆する必要が出てきます。分筆をした片方の土地を不動産登記することになるのです。分筆した土地には、新たな地番が付けられます。
Q.土地を分筆したい場合はどうすれば良いですか?
分筆するためには土地の境界線を定めなければいけないため、測量などをしなければいけません。境界部分への杭打ちが必要です。土地家屋調査士に相談して現地調査をしてもらいましょう。
また、土地には接道義務というものが存在します。接道義務とは「土地の上に建物を建てる場合は、幅4m以上の道路に2m以上接道していなければいけない」というものです。そのため、将来的に建物を建てる予定がある場合は、接道義務を満たしているか確認してください。
補足:分筆には諸経費がかかります
一筆の土地を分けるために分筆が必要になりますが、分筆には下記のような諸経費がかかります。
測量費 | 10万円~ |
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筆界確認書作成費 | 10万円~ |
官民境界確定図作成費 | 10万円~ |
境界標設置費 | 10万円~ |
登記申請費 | 5万円~ |
登録免許税 | 分筆後の筆数×1,000円 |
境界線が確定している場合は、筆界確認書作成費と官民境界確定図作成費は不要です。そのため、境界線が確定しない場合は50万円程度、境界線が確定している場合は25万円程度の諸経費が必要になります。
しかし、分筆の諸経費は各業者によって大きく異なります。そのため、最初から依頼先を一社に決めるのではなくて、複数の業者に相見積もりをして安く請け負ってくれる業者を探すと良いでしょう。
Q.合筆とはどのような時に行われますか?
分筆の逆が合筆です。多くの筆に分かれている土地を所有していると権利書が分かりにくく、不動産登記情報を取得する際も通常よりも余分に費用がかかります。
また、土地を担保に入れたり、売却したりするときも設定登記費用や所有権移転登記費用が一筆ごとにかかるので不経済な場合もあります。このような問題を解決する方法として選ばれるのが、合筆です。
補足:合筆登記はご自身で行いましょう
合筆登記も業者に依頼することができますが、測量・書類作成・調査料を含めると5万円前後かかります。分筆する場合は、各自が満足できるように入念な調査が必要となりますが、接続し合う土地を合筆する場合は測量などの調査は必要ありません。
登記申請書に必要事項を記載するだけで合筆登記は行えます。自分で合筆登記を行えば、数千円程度の費用で済むため、少しでも安く合筆登記をしたい場合は、自分で登記をしましょう。
Q.固定資産税を安くする方法はありますか?
固定資産税における土地の評価は一筆ごとに評価します。一筆の土地に複数の建物がある場合、各建物ごとに分筆すると固定資産税を安く抑えられることもあります。
例えば、一筆の土地に4棟の建物がある場合は分筆されていないため、正面道路の路線価で全面積を評価されている可能性があるのです。この場合、土地を4区画と敷地内道路1区画に分筆登記することで、道路より奥に区画された土地と指導部分の評価は下がり、固定資産税を安く抑えることができます。
Q.一筆の土地を複数人で共有することはできますか?
一筆の土地を複数人で共有することはできますが、土地を売却する場合は共有者全員の同意が必要になるなどの制約が出てきます。そのため、相続や贈与で土地を分けるときは分筆することが多いです。
不動産登記の仕組みについて理解を深めよう
登記簿で土地を登録する際は、一筆の単位で登録されます。土地の数え方を間違えてしまうと、不動産売買時に恥ずかしい思いをしてしまうため、土地の数え方をきちんと覚えておきましょう。
また、一筆の土地を複数人で共有することはできますが、共有すると全員の合意を得られなければ、土地売却ができないなどの制約が出てくるため注意しなければいけません。
固定資産税を安く抑えるために分筆した方が良いこともあります。そのため、不動産登記の仕組みについて理解を深めておいて、賢く土地活用をしてみましょう。
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