不動産投資において物件を選ぶ際に重要視される一つの指標として「利回り」というものがあります。
一口に利回りと言ってもたくさんの意味がありますが、不動産投資でよく使うのは「表面利回り」と言うもので、以下の式で算出することが出来ます。
この式が表すのは、物件価格に対して年間家賃収入が占める割合であり、表面利回りが高い物件ほど、物件購入資金を回収するスピードが速く、良い物件とされています。
多くの不動産投資初心者が物件を探す際にまず重視するのは、この利回りです。
ただ、利回りはあくまで家賃収入だけをベースに考えた指標であり、家賃収入がそのまま投資家の収入になる訳ではありません。
大切なのは、これから解説する、家賃収入から必要経費、税金、ローン返済などの支出部分を取り除いた純粋な手残り部分である「キャッシュフロー」です。
今回は、このキャッシュフローについて解説します。
これを見れば、なぜ利回りよりキャッシュフローが大切なのか、キャッシュフローを計算する上で支出部分とは何があるのか、キャッシュフローを残すことがなぜ重要なのかと言うことが分かります。
不動産投資の失敗の大きな理由はキャッシュフローが出ないこと。
○○年後に自分の資産になるからってそれまで赤字ならリスク高いと気付くべき。#不動産投資 #マンション投資 #中古マンション— 大家先生 (@ooyafudo3) February 23, 2021
利回りだけで物件を選ぶのはかなり危険
はじめに、なぜ利回りの数字だけで物件を探すことが危険なのかと言うことを解説します。
先述したように、利回りは良い物件を探す上でとても重要な要素であり、利回りを意識して物件を探すこと自体は悪いことではありません。
ただ、利回りの数字自体、以下のような理由によりあまり充てにならない側面もあります。
・利回りはあくまで満室想定時の家賃収入をベースにしている。
・不動産業者によって利回り表示の考え方が異なる。
不動産ポータルサイトで物件を探すときや不動産業者から物件の紹介を受ける際、ほとんどの場合は、空室があったとしても満室想定時の利回りが表示されます。
単純に利回りが高いからと言って購入してしまうと、現況は空室ばかりで想定した家賃収入が入ってこないということも普通にあります。
また、利回りを算出する際にベースとなる家賃額も業者によって、共益費込みの家賃額で算出する業者と共益費を除いた額で算出する業者があるなど、業者によって考え方が異なる場合があります。
よって、利回りだけを見て購入を検討することは、実際にかかる支出部分を考慮していないことに加えて、先述したような理由により利回りの数字自体も充てにならない側面がある為、特に投資初心者にはおすすめ出来ません。
キャッシュフローの計算方法って?
不動産投資におけるキャッシュフローとは、賃貸経営をしていく中で入ってくる収入(家賃収入)から必要経費、税金、ローン返済などの支出部分を差し引いた純粋な利益のことを指します。
よって、キャッシュフローは以下の式で算出ができます。
不動産投資で得た収入にももちろん所得税がかかりますので、所得税引き後でキャッシュフローを考える方もいますが、課税所得額の計算とキャッシュフローの計算は若干の違いがある為、多くの場合、所得税引き前の手残り部分をキャッシュフローと呼びます。
不動産投資の支出部分って?
キャッシュフローとは家賃収入から支出部分を差し引いたものなので、支出部分について把握しないと計算することが出来ません。
ここでは、不動産投資における支出部分について、経費、税金、ローン返済に分けて解説します。
支出1:経費
経費と言うと幅広いですが、不動産投資で言う経費とは、物件管理を委託している際の管理手数料や清掃費用、修繕費用、空室を埋める為の広告費、共用部分の水道光熱費などがあります。
分かり易く言うと、経営をする中で発生するランニングコストです。
この経費に関しては、管理手数料や清掃費用などのように定期的にかかってくるものもあれば、修繕費用や空室が出来たときの広告費などのように不定期なものもあります。
物件を購入するにあたっての事前シミュレーションで最も読み難いのがこの経費部分です。
新築・築浅物件であれば、ある程度想定しやすいですが、特に築古物件を購入する際は、急な修繕費が発生する場合があるなど予想が難しいところがあります。
キャッシュフローのシミュレーションをする際には、定期的に発生する経費のみを計算する場合が多いですが、修繕費や広告費の発生に備えて余力を残したシミュレーションをすることを心掛けてください。
少し話は逸れますが、特に初心者の方で資金に余裕がない方は急な出費が発生するような物件を買わない様にする努力も必要です。見えないリスクに対応することが難しい場合には、リスクが高い物件は買わない方が安全です。
キャッシュフローの計算において経費の部分はかなり慎重に考える必要があります。
支出2:税金
不動産は取引するにも所有するにも税金がかかりますので、支出部分を考える際は、税金についても加算する必要があります。
不動産投資でかかってくる税金は、不動産取得税、固定資産税・都市計画税があります。
・不動産取得税
不動産を取得した際には、不動産取得税がかかります。
不動産取得税は土地部分と建物部分の2回に分けて納税しますが、おおよそ物件を購入してから3カ月から半年以内に納税通知書が届き、支払う形となります。
不動産取得税は購入して一度支払うだけでその後は発生しません。
・固定資産税・都市計画税
不動産取得税と違って毎年発生する税金がこの固定資産税と都市計画税であり、よく固都税と呼ばれるものです。固都税においても土地・建物の両方に課税されますが、建物に関しては減価償却に合わせて税額も減っていきます。
要するに築年数が経つごとに税金は安くなります。
例えば、木造アパートの場合、減価償却期間は新築から22年間ですので、築22年後は建物部分の価値は税務上無くなります。
よって、築23年から後は土地部分に対してのみ固都税を支払います。
支出3:ローン返済
不動産投資は多額の資金が必要になりますので、多く場合、自己資金にプラスして銀行融資を活用して物件を購入します。銀行融資が活用できることは、手元資金よりも大きな資金を運用出来る点で不動産投資の大きなメリットです。
ただ、融資を活用する訳ですので、月々の返済が発生します。
もちろん、このローン返済もキャッシュフローを計算する上で支出部分として組み込む必要があります。不動産投資において、良い条件で融資を組むことはキャッシュフローを多く残す上でとても大切な要素です。
良い条件の融資とは基本的には低金利の融資です。
例えば、価格5,000万円の物件を融資期間30年で全額融資を使って購入したとき、金利が2%と3%の場合で月々の返済額を比較します。
※元利均等返済で計算しています。
・金利2%⇒184,809円/月
・金利3%⇒210,802円/月
・差 額 ⇒25,993円/月
ご覧のように金利1%の差でも月々の返済額にはかなりの差がつきます。
融資の条件にはその他、融資の期間も変更することが出来ますが、同じ金利条件であれば、返済期間が長い方が月々の返済額は軽くなります。
なお、融資の条件は融資を活用する本人の属性以外に物件によっても条件が変わります。ご自身の資金計画に合わせた返済方法を選ぶこと、好条件の融資が出るような物件を選ぶことが大切です。
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キャッシュフローは不動産投資において大切な運転資金
キャッシュフローをより多く残すことは、その後の不動産経営においてとても大切です。
不動産投資は経営している中で修繕費や退去が出た後のリフォーム代、入居募集の広告費など急な出費が発生することが必ずあります。このような際にキャッシュフローがプラスに出ていないと資金繰りが苦しくなり最悪の場合、ローンの返済が滞ってしまい、経営自体が成り立たなくなってしまいます。
キャッシュフローを毎月プラスに出して且つ、それを確実に積み立てていけば、急な出費にも対応でき、将来的に規模を拡大する時の貴重な資金になります。
不動産投資においては利回りだけがフォーカスされがちですが、長期的に経営を続けていく上で重要なのは、確実にキャッシュフローです。
これから投資を始める方は、物件を購入する前に気になる物件の現況を確認のうえ
✅ 空室があれば満室にすることが出来るのか?
✅ 満室稼働したとしてキャッシュフローはいくら残るのか?
✅ 築年数を考えて急な修繕は発生しないか?
と、よく考えた上で不動産投資を開始することが重要です。
これらの判断をくだすうえでも、不動産投資に関する正しい知識を持ち合わせておくことが大切になります。セミナーは独学よりも早いスピードで知識がつきます。一緒に学ぶ仲間がいれば、モチベーションを保つこともでき、前向きに不動産投資に取り組めます。
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