マンション投資などに代表される不動産投資をするには、不動産購入のために数千万円〜数億円単位のお金が必要です。これだけの大金を自己資金で用意できない人がほとんどなので、多くの投資家は不動産投資ローンを借りて融資を得て運用を始めます。
しかし、ローンを借りるときに気になるのが「金利」ですよね。実は、不動産投資ローンは住宅ローンよりも金利が高いローンなのです。
今回は、不動産投資ローンの金利の相場や、少しでも安く借りるにはどうしたら良いかなどを解説していきます。金融機関や不動産投資会社に相談に行く前に、この記事の内容に目を通しておきましょう。
目次
不動産投資ローンの金利の相場
不動産投資ローンの金利は、1〜4%程度が相場となります。金融機関によって商品性やサービスが異なるので、目安の金利にも幅があります。
例えば、SMBC信託銀行プレスティアの場合、2019年11月現在でホームページに記載されている金利一覧は次のとおりとなっています。
初回借入金利 | 基本プラン | 契約金額5000万円以上 | 契約金額1億円以上 |
---|---|---|---|
固定金利型1年型 | 年2.13% | 年1.93% | 年1.73% |
固定金利型10年型 | 年2.20% | 年2.00% | 年1.80% |
一方、オリックス銀行の場合、2019年11月現在でホームページに記載されている金利一覧は次のとおりとなっています。
金利タイプ | 店頭表示金利 |
変動金利型 | 年3.675% |
固定金利期間特約付変動金利型(3年固定金利特約型) | 年3.300% |
固定金利期間特約付変動金利型(5年固定金利特約型) | 年3.500% |
金融機関や商品によって金利の設定は異なるので、一概に「金利が低い方がおすすめ」とも言えません。金融機関の選び方としては、金利の数字だけでなく商品性の違いも重要です。
各銀行の不動産投資ローンを徹底比較
どこの銀行から借り入れるかによって、金利や手続きの複雑さは変わってきます。各銀行の不動産ローンを比較しながらご紹介します。
三菱東京UFJ銀行
メガバンクの三菱東京UFJ銀行の金利は1%前後となるため、トータル的な借入金額を抑えることができます。全国に支店があるため、幅広いエリアの物件が融資対象になり、投資家がどこに住んでいても、遠隔地の物件を購入することができます。
しかし、便利な反面で融資審査基準は最も厳しいです。属性においては、自己資金、過去3年間の年収、共同担保可能な不動産投資物件があることが必要条件となります。また、購入物件も確実に収益性が見込めることが求められるケースが多いです。
オリックス銀行
オリックス銀行はネット銀行を中心に展開していますが、不動産投資向けのローンに注力しており、地方銀行の金利並みの2.675%の金利で貸し出しを行っています。また、繰り上げ返済の手数料が無料や団体信用生命保険が用意されているなど、柔軟なサービスを提供しています。
地方銀行
長年、不動産投資を始める方が最初に選ぶ銀行として地方銀行が挙げられます。基本的な金利は4.5%前後です。少し金利が高いかもしれませんが、他行と比較すると長期的な借入が可能であり、キャッシュフローの面では他行には劣らないという点がポイントです。
住信SBIネット銀行
住信SBIネット銀行の不動産投資ローンは300万円~1億円の融資が可能です。金利は変動金利のタイプで2.95%~8.9%となっています。金利は他行と比較すると高くなってしまいますが、ネットで完結する手軽さがあります。金銭消費貸借契約も郵送で対応できるので、手軽なローンを探している方にはおすすめの銀行です。
日本政策金融公庫の金利相場
日本政策金融公庫とは、財務省所管の金融機関です。固定金利のみを取り扱っており、1.2~1.9%程度となっています。女性や高齢者への優遇措置を取っており、借入上限が引き上げられ、借入期間も通常10年のところ、15年まで引き上げられます。とても便利な金融機関ですが、居住地の最寄りの各支店に投資家本人が交渉しなければいけません。不動産業者に代行依頼することができないことを覚えておきましょう。
金融機関 | 変動金利 | 繰り上げ返済 | 特徴 |
三菱東京UFJ銀行 | 1%前後 | 可 | 全国展開のため遠隔地の物件も購入できるが、審査基準が難しい |
オリックス銀行 | 2.675~3.675% | 可 | 不動産投資ローンに注力しており、低金利や繰り上げ返済手数料が無料などの借入サービスが充実している |
横浜銀行 | 3.7~4.7% | 可 | 金利は高いけれど、長期的な借入ができる |
住信SBIネット銀行 | 2.95%~8.9% | 可 | 手続きがネットで完結できるという手軽さがある |
日本政策金融公庫の金利相場 | 1.16~2.35% | 可 | 金利は安いが、金融機関の交渉は自分で行わなければいけない |
不動産投資ローンを安く借りるポイント
住宅ローンよりも金利が高い不動産投資ローンですが、金利を少し安く抑えることは可能です。次の4つがポイントとなるので、確認してから不動産投資を始めましょう。
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- 借主の属性
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- アパートよりマンション
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- 固定金利と変動金利
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- 実績を活用する
借主の属性
「どんな人がローンを借りるのか」は、住宅ローンと同様、不動産投資ローンでも重要視されます。基本的には、サラリーマンなど本業で安定した収入が得られる人は審査に通りやすく、年収300万円〜500万円のサラリーマンであれば、問題なく審査には通過します。交渉次第では金利を引き下げてもらうこともできるでしょう。
本人の収入が安定していない場合、貯金や他の金融資産の残高も審査の対象となります。たくさんお金を持っている人は返済能力が高いと見なされるので、金利を低くしてもらえることがあるのです。
金融機関の融資審査において最も重要なのは、「この人にお金を貸したら、きちんと返済してくれるかどうか」です。安定した収入がある人や、金融資産を多く保有している人は信用されるので、低金利でローンを組めるケースがあります。
収入や資産の面で条件を満たせない場合、これから解説する3つのポイントも参考に、金利を下げられないか検討してみてください。
アパートよりマンション
融資審査の流れにおいては、物件の特性や収益性も重視されます。一般的には、アパートよりもマンションの方が低い金利でローンを借りやすい、と言われています。フルローンの審査も、マンションの方が通りやすいです。
その理由は、マンション経営とアパート経営を比較すると、マンションの方が収益性が高い傾向があるためです。特に東京ではマンションの方が駅から近い物件が多く、建物の耐用年数が長いこともあり、また入居者が支払う賃料の低下スピードも緩やかと考えられるからです。
アパートの方が表面利回りが高いメリットがあるのですが、ローンの金利が高くなってしまうと、マンションの利回りと同程度になることもあります。いくら魅力的な表面利回りの物件でも、ローンの金利が高くなって相殺されてしまっては無意味ですよね。
マンションかアパートかを決めるのは、ローンを組む前の物件選びの段階かと思います。物件選びの前に、マンションの方が低金利で融資を受けられやすいことを押さえておきましょう。
固定金利と変動金利
同じ金融機関の固定金利と変動金利で迷っているなら、基本的には変動金利の方が低金利でローンを借りられる可能性が高いです。
確かに変動金利だと、将来的には金利が上がってしまうかもしれないデメリットがあります。しかし実際には、金利が上昇するタイミングは半年に1回ですし、一気に引き上げられることはありません。
国内の経済政策などに伴って金利の引き上げがある場合、返済が滞らないように金融機関から案内をもらうことができます。金利が高くなりすぎる場合は支払い計画を見直し、他の金融機関のローンに変更するなど、そのときに臨機応変に対応すれば良いでしょう。
実績を活用する
既に不動産投資ローンを借りており、何年も滞らずに返済してきた実績がある人は、低金利でローンを借りやすいです。同じ金融機関で借りるときには、交渉の材料にすると良いでしょう。
また、借入期間の途中で別の金融機関に借り換えしたいときも、実績は有効なカードです。銀行などの金融機関にとって、きちんとローンを返済してくれる人は重要な顧客です。他の金融機関に借り換えされるくらいなら、金利を下げてでも自分のところでローンを組んでほしい、と考えてくれるはずです。
既に不動産投資ローンの返済実績がある人は、ぜひプッシュしていきましょう。
まとめ
不動産投資ローンの金利は、1〜4%程度が相場であることをお伝えしてきました。金融機関によって商品の仕組みや特徴に差があるので、一概に「金利は低ければ良い」と言えないところが、難しいですよね。
株式投資などと異なり、初期費用にお金がかかる不動産は、自己資金だけで始めるのが難しいものです。成功すれば、表面利回りとローンの金利の差が不労所得となる資産運用で、長く収益を得ることができます。一方で、入居率が低い物件に手を出してしまうと、運用に失敗して賃料の収入よりローンの支払いの方が多くなってしまう、というケースもあります。
そのため、低金利でローンを借りることは投資家にとってとても重要です。税金の支払いや不動産のマネジメントセミナーへの出席などの支出も踏まえると、少しでも収益性を高めるのは大切ですよね。
金利は交渉や条件次第では下げてもらうことができるかもしれません。この記事で紹介したポイントが当てはまる人は、ぜひ金融機関に働きかけていきましょう。
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