国民生活センターには、不動産投資関連のトラブルの相談が相次いでいます。不動産投資営業訪問は、しつこくて断れない人も多いです。そのような人の弱みに付け込む悪質業者も存在するので注意してください。
投資物件の購入金額が大きいため、このようなトラブルに巻き込まれないためにも、対処法を知っておくことが大切です。
また、早期に対処すれば、抱えているトラブルが解決できるかもしれません。ぜひ、訪問営業のトラブルで悩んでいる方は、この記事を参考にしてみてください。
目次
しつこい!不動産投資の訪問営業の被害
画像:国土交通省『投資用マンションについての悪質な勧誘電話等にご注意ください』より
不動産投資トラブルは、深刻な問題に発展しています。消費者生活センターには、不動産投資トラブルに関する相談が多く寄せられています。実際に、どれぐらいの相談件数が寄せられているのでしょうか?また、どれぐらいの被害が出ているのでしょうか?
ここでは、国民生活センターの資料を参考にして、不動産投資訪問営業の被害件数・被害額をご紹介します。
相談件数
国民生活センターに寄せられている年度別の相談件数は下記の通りです。全体の数値は減少していますが、20代の相談件数は、2013年から2018年で2.5倍に増加していることが分かります。
全体の相談件数 | 20代の相談件数 | |
2013年 | 2,321件 | 160件 |
2014年 | 1,937県 | 174件 |
2015年 | 1,713件 | 218件 |
2016年 | 1,605件 | 319件 |
2017年 | 1,557件 | 339件 |
2018年 | 1,350件 | 405件 |
平均被害額
不動産投資に関するトラブルの相談の中には、実際に契約した方もいます。平均契約金額は約2,776万円です。20代の相談者が多いですが、20代が簡単に返済できる金額ではありません。
平均契約金額 | |
2013年 | 2,321件 |
2014年 | 1,937件 |
2015年 | 1,713件 |
2016年 | 1,605件 |
2017年 | 1,557件 |
2018年 | 1,350件 |
名刺交換やアンケートに注意
マネーセミナーに参加をして、資産運用を教えてもらう姿勢は非常に大切です。しかし、安易に名刺交換やアンケートに回答しないようにしましょう。氏名・住所・電話番号を伝えてしまうことで、しつこく勧誘されてしまうのです。
セミナーに参加する際は、事前にその会社の情報収集をしましょう。公式ホームページで企業概要や活動内容を確認したり、セミナーポータルサイトのクチコミをチェックするのも良いです。
しつこい!悪質な不動産投資の訪問営業の手口
悪質業者による不動産投資訪問営業の被害件数は増えており、被害額も高額です。実際に、悪質業者はどのような手口を使用するのでしょうか?ここでは、悪質業者の訪問営業の手口をご紹介します。
強引に売り込む
不動産投資関連のトラブルは、担当者が強引に売り込んでくるため問題に発展しています。不動産投資に興味がないと返事をしているのにも関わらず、引き続き勧誘してくるのが悪徳業者の特徴です。
また、不動産投資の契約をしない理由を教えて欲しいなど、威迫的な態度を取ってくる悪徳業者も存在するため注意してください。相手の勢いに飲まれてしまうかもしれませんが、断り続けなければいけません。
節税対策で不動産投資をすすめる
悪徳業者は、不動産投資のメリットしか話をしません。しかし、不動産投資を始めれば儲けられるわけではありません。大きな損失が出ることもあるため、不動産投資を始める場合は慎重に行わなければいけません。
悪徳業者が説明するフレーズで「節税目的で不動産投資を始めましょう」と語る人がいます。確かに、不動産投資事業で支払ったものは経費勘定できます。
しかし、不動産投資事業が黒字経営である場合は、可処分所得に応じた住民税・所得税を支払わなければいけません。また、不動産所有すると固定資産税も払わなければいけないのです。そのため、必ずしも節税対策につながるわけではないことを覚えておきましょう。
デート商法を利用する
マッチングアプリや婚活パーティーなどの婚活サービスが続々と登場しています。このようなサービスが登場したことで、デート商法による不動産投資トラブルが続出しています。
婚活サービスで知り合った異性から、投資用マンションの購入を提案されるというケースも多いのです。デート商法は、恋愛感情につけ込んだ手法であるため、適切な判断ができなくなるので注意しなければいけません。
早期の契約を強要してくる
不動産投資を始める場合は、慎重に計画を立てていくことが大切です。優良な不動産投資会社であれば、入念な市場調査・資金計画に協力してくれるでしょう。しかし、悪質業者は即日契約を促してきます。このような業者は、会社の売上しか考えていないため契約してはいけません。
クーリング・オフの妨害をする
不動産投資トラブルに巻き込まれても、要件に該当すればクーリング・オフが適用できます。しかし、悪質業者はクーリング・オフの妨害をしてきます。
例えば、契約を解約した場合は違約金が発生すると脅してきて煽りをかけてくるのです。契約者は、家族に迷惑をかけたくないと1人で悩みがちになりますが、クーリング・オフを適用するためにも、消費者生活センターなど専門家に速やかに相談するようにしましょう。
しつこい!不動産投資の訪問営業の対処法
しつこい不動産投資の営業訪問を受けたり、トラブルに巻き込まれた場合の正しい対処法を覚えておきましょう。
きっぱりと断る
不動産投資に興味がない場合は、きっぱりと断ることが大切です。セールスを苦手とする人は、相手を傷つけたくないために曖昧な態度を取りがちです。「今は忙しいから…」という理由で断ると、担当者は別日に再訪してきます。
そのため、訪問営業をやめて欲しい場合は、全く興味がないことを伝えてみてください。断る場合は、冷静沈着になることが大切です。感情をぶつけてしまうと、相手も怒り出すことがあるので注意してください。
国土交通省に通報する
訪問営業の担当者に断りを入れても勧誘してくる場合は国土交通省に通報しましょう。相手が断っているにも関わらず、勧誘する行為は宅地建物取引業法違反に該当します。そのため、勧誘業者名と従業員名を確認して通報してください。
また、勧誘を受けた日付や内容、受け取った資料を揃えておきましょう。証拠を残しておくことで、国土交通省に話が伝わりやすくなります。
クリーング・オフを適用する
訪問営業で勧誘を受けると断れない人もいるでしょう。実際に、訪問営業担当者に長時間拘束されてしまい、怖くて契約してしまう被害者が多いです。不本意に契約を交わした場合は、契約解除をしましょう。5つの要件に該当すれば、クーリング・オフを適用して契約解除することができます。
1.契約相手 | 宅地建物取引業者(不動産会社)が契約相手である |
2.契約内容 | 不動産売買契約である |
3.取引 | 取引金額を全額支払っていないこと |
4.書面の発行 | 解約条件に関する書面を発行していること |
5.契約場所 | 訪問営業先(自宅・職場) |
消費者生活センターに相談する
不動産投資営業訪問の断り方を説明しましたが、1人で対処するのに不安を感じてしまう人もいるかもしれません。また、契約解除の対象なのかどうかを含め、クーリング・オフ書面の書き方が分からずに悩んでしまうこともあるでしょう。そのような悩みを抱えた場合は、消費者生活センターに相談をしてみてください。
ひとりで悩まず国土交通省や国民生活センターに相談を
今回は、しつこい不動産投資訪問営業の手口と対処法をご紹介しました。
悪質業者は、契約者を脅迫してきます。あまりの怖さに契約してしまうこともあるかもしれません。そのような場合は、落ち込まずに、早いタイミングで国土交通省や国民生活センターに相談をしましょう。
早期の相談で被害を防止できるかもしれません。また、セミナーや街頭アンケートで名刺交換やアンケート調査に安易に回答しないようにしましょう。
日頃から、個人情報を大切に取り扱う習慣を身につけておくようにしましょう。