不動産投資ローン利用者が、万が一のときに頼れる仕組みとなるのが団体信用生命保険です。
債務者本人が死亡したり高度障害にかかった場合は、残された家族で残りのローンを払っていかなければなりません。
配偶者や子供に迷惑がかかってしまうかもしれないため、そのような事態を避けるためにも保険を検討しましょう。
この記事では、団体信用生命保険の特徴について分かりやすく解説します。
団体信用生命保険(団信)とは
ローンの返済期間中に借主本人が死亡または高度障害を負った場合に、保険会社がローン残高をすべて返済してくれる保険のことをいいます。
借入れ時の年齢が、満15歳以上満70歳未満であり、最終返済時の年齢が満80歳未満の方が利用することができます。
団体信用生命保険のメリット
死亡や疾病時に住宅ローンの返済義務がなくなる
被保険者が死亡・高度障害になって、ローンの返済が難しくなった場合、ローンは全額弁済されます。
所得税の納税義務がない
通常の生命保険が満期になれば、一時金を取得した場合に所得税を申告する必要が出てきますが、そのような納税義務は発生しません。所得税がかからないのが、通常の生命保険との大きな違いです。
団体信用生命保険のデメリット
所得控除が受けられない
団体信用生命保険は、生命保険料控除の対象外です。そのため、所得税を節税したいと思っても、生命保険代わりに所得控除は受けられないので注意しましょう。
保険料の総支払額が高くなる
生命保険と比較すると保険料の総支払額が高くなりがちです。団体信用生命保険は、ローン残高に応じて保険料が安くなっていく仕組みです。しかし、35年払いの方が多いため、通常の生命保険と比較すると総支払額が高くなります。
保障内容が薄い
生命保険と比較すると保障内容が薄いです。特約を付けられる団信もありますが、原則的にローンの残債がゼロになるだけであり、入院費が保障されるわけではありません。そのため、契約前には特約を必ず確認するようにしましょう。
団体信用生命保険(団信)の種類
住宅ローンの借り入れ先によって、団体信用生命保険も異なります。
機構団体信用生命保険(機構団信)
フラット35の住宅ローンを提供している住宅金融支援機構の機構団信は、150万人以上が加入している保険です。告知日に満15歳以上、満70歳未満の方が対象となり、満80歳の誕生日を迎えるまで保障は続きます。
また、ご夫婦でのデュエット加入も可能です。保険料は1.57倍になりますが、ご夫婦のどちらかが死亡したり、高度障害状態になられた場合には、住宅の持ち分や返済額等にかかわらず、ローンの返済義務が残りません。
この保険の加入は任意となっているため、強制的に加入しなければいけないものではありません。
信用保証協会団体信用生命保険
一般社団法人全国信用保証協会連合会が提供している保険です。この保険も加入は任意となっています。令和2年4月より、保証強化団信利用時の負担軽減を目的に、特約料率が約20%引き下げられています。
中央労働銀行団体信用生命保険
中央労働銀行(中央ろうきん)の住宅ローンには、万一の場合に備えて保険が付保されています。そのため、住宅ローンに保険料が上乗せされます。
さらに「ろうきん団信」「就業不能保障団信」には、連帯債務者である配偶者とご夫婦2人で加入できる「夫婦連生団信」も用意されており、「ろうきん団信」「就業不能保障団信」「オールマイティ保障型団信」から好きなものを選ぶことができます。
一般金融機関の団体信用生命保険
各金融機関でも、もしもの時に備える保険として希望者に提供されています。「ガン保障特約付き」「3⼤疾病保障特約付き」「8⼤疾病保障特約付き」「全傷病保障特約付き」「ワイド団信」など豊富なラインナップの保険が用意されています。
団体信用生命保険(団信)の保障内容
次に、どのような時に保障されるかを確認しておきましょう。
死亡時・高度障害保障
被保険者が死亡もしくは下記の高度障害状態に該当した場合、保険が受け取れます。
【高度障害に該当する状態】
- 両眼の視力を永久に喪失した状態
- 言語機能や咀嚼機能を永久に喪失した状態
- 中枢神経系または胸腹部臓器に著しい生涯があり介護を要する状態
- 両腕とも喪失した状態
- 両足とも喪失状態
- 片足と片手を永久的に喪失した状態
※「死亡に匹敵する損失」と位置付けられているだけに、高度障害状態とは非常に重度の状態を指していることが分かります。
三大疾病保障
三大疾病とは「悪性新生物(がん)」「急性心筋梗塞」「脳卒中」の所定の状態になった場合に保険が受け取れます。三大疾病保障は、所定の要件を満たせば、90歳までご契約を更新することができます。
七大疾病保障
「悪性新生物(がん)」「脳卒中」「急性心筋梗塞」「糖尿病」「高血圧疾患」「肝疾患」「腎疾患」になった場合に保険が受け取れます。手広く備えたい方に人気プランです。
補足:ライフスタイルに見合う団体信用生命保険を選ぼう
上記の保障内容の他にも、特約保険金の保障を用意している会社もあります。
例えば、余命6ヵ月以内と診断されたときに支払われるリビングニーズ特約保険金、がんと診断されて治療に専念をしたが、効果が得られないときに支払われる重度がん保険金前払特約、先進医療による療養を受けたときに支払われる先進医療給付金などがあります。
さまざまなオプションが用意されているため、自分自身のライフスタイルに見合う保険を選ぶようにしましょう。
団体信用生命保険(団信)について良くある質問
次に、良くある質問をご紹介します。
Q.持病がある方は団信に加入することはできませんか?
一部の銀行では、持病を抱える人向けの「ワイド団信」を取り扱っています。ワイド団信は、正式には「加入条件緩和割増保険料適用特約付団体信用生命保険」と呼ばれます。
いわゆる生命保険にも、持病を抱えている人向けに告知条件を緩やかにした保険が用意されているのです。しかし、一般の保険よりも保険料が高くなります。
Q.団信の加入条件は設定されていますか?
保険に加入する場合、年齢と健康状態の条件に該当しなければいけません。申込書兼告知書の記入日現在で、満15歳以上70歳未満であることなど生命保険会社の加入承諾を受けている人でなければいけません。詳細は各会社に聞いてみてください。
Q.保険料が受け取れないのは、どのようなときですか?
被保険者が、契約期間中に自殺をした場合や、保険金受取人または契約者の故意によって死亡したときは、保険金の免責事項に該当するため、保険金を受け取ることはできません。また、被保険者が無免許運転による交通事故で死亡した場合なども受け取ることができません。
まとめ
この記事では、団体生命信用保険についてご紹介しました。
種類よっては、ローンの中に保険料が含まれているものもあれば、別に保険金で支払わなければいけないものがあるため、それぞれを良く比較検討してみてください。
また、あまり知られていませんが、持病を抱えている方でもワイド団信が用意されているため、保険への加入を諦めてはいけません。通常の保険より、保険料は高くなってしまいますが、保険に入っておけば、不動産投資ローンの残債の返済に追われずに済みます。
このように、団体生命信用保険は生命保険の代わりにもなるため、不動産投資ローンを借りる際は、加入を検討してみましょう。
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