持っているだけで固定資産税がかかる不動産。土地や家は、従来は資産と考えられてきましたが、最近では税金や解体費用が高いことから、誰も住まず処分もできない空き家は負債とまで受け止められるようになってきました。
そこで注目されているのが、空き家を有効活用して利益を出す「空き家再生ビジネス」です。しかし、「空き家を使った投資を始めたい!」と思っても、ネット上にはあまり情報が無いので、どう始めたら良いのか分からないですよね。
この記事では、空き家投資でのよくある失敗例を掲載し、どうすれば投資を成功させることができるのか考えていきます。これから空き家再生を始める方は、同じ失敗をしないよう参考にしてくださいね。
目次
空き家投資でよくある失敗例
空き家投資は、所有する空き家をリフォームして入居者を募り、入居者から毎月回収する家賃収入で利益を上げる投資です。マンションやアパートに投資するのがイメージのある不動産投資の一種で、投資である以上、一定のリスクがあります。
必ず成功するという保証はないので、物件を購入する前に空き家投資のよくある失敗例を学んでおきましょう。
自力でリフォームしようとして挫折
空き家の物件を購入したら、ほとんどの方が最初に着手するのがリフォームです。DIYについて少し知識のある方なら、「リフォーム業者に頼むより自分でDIYして綺麗にした方が安い」と感じるかもしれません。
全体をDIYする時間と体力があればそれでも良いのですが、サラリーマンなど本業が忙しい方には現実的ではありません。趣味としてDIYを楽しんでいる方は「空き家のリフォームも自分でやったら楽しそう」と考えてしまうかもしれませんが、家全体のDIYは想像以上に大変です。
結果、家の一部はDIYで綺麗になったものの、全体的には無理だった、というケースは多いです。最初から専門の業者に頼んでいれば、手間も時間もかからなかったのに、という失敗例です。
物件が自宅から遠すぎる
いざ空き家を購入しても、すぐに貸し出せる状況であることはほとんどありません。ある程度は綺麗に改装する必要があります。
ところが、自宅から離れたエリアの物件を買ってしまったため、車で通おうにも渋滞に巻き込まれて時間が取れない、といった失敗例があります。DIYで改装しようと思ったのに、渋滞にばかり時間を取られてしまっては、本末転倒ですよね。
また、そもそも車が無いとアクセスできないような場所の物件で収益化できるのか、冷静に考える必要があるでしょう。賃貸住宅として貸し出すなら、その土地に住みたい人の需要が無ければ、誰も住んでくれません。古民家カフェの経営に使って貰おうとしても、お客さんが見込めない場所の物件では難しいです。
リフォームを頼んだら高くついてしまった
これまで紹介した失敗例は、自力でリフォームしようとして起こったものでした。しかしながら、「それなら業者にお任せすれば良い!」と早合点するのも危険です。
空き家を買うところまでは順調だったものの、老朽化した建物など自力で改装できない人の方が多いですよね。そのような方は地元のリフォーム店などに依頼するのが良いのですが、かなり高くついてしまった、というケースがあるのです。
一方で、リフォームの価格が安い業者に頼んだら対応がずさんで困った、という事例もあります。今は空き家でもリフォーム後は他人に貸し出すものなので、信頼できる業者に任せなければなりませんよね。
失敗から学ぶ空き家投資の注意点
これまでは空き家投資の失敗例について紹介してきました。正直、どれも経験したくないことばかりです。
ここからは、同じような失敗をしないようにするには、どんなことに注意したら良いのか解説していきます。失敗を避けるためにも、よく読んでくださいね。
アクセスが難しい物件は収益化しにくい
空き家の値段ばかりを見て物件を決めてしまうと、アクセスが難しい物件を引き当てる可能性が高いです。駅から遠く車でなければアクセスできなかったり、周辺に人が住んでいなかったりする場合、空き家を買っても管理者として様子を見に行くのが大変になってしまいます。
また、「古民家カフェ」が流行していることもあり、「古い家を改装してカフェを経営したい!」と安易な考えを持ってしまう方も多いです。そのような方にも空き家再生ビジネスは人気ですが、そもそもお客さんは見込めるのでしょうか。
空き家ということは、その土地に住む魅力が無いから空き家になっている、ということも多いのです。近くに駅などがあって投資家である自身が管理者として楽に通えるか、入居者や店舗経営者として家を使ってくれる人がいるか、などを冷静に判断して物件を購入しましょう。
借主負担DIYという手段も
人が住めないほどの状態で貸し出すことはできませんが、問題なく生活できるレベルであれば、「DIYは借主負担で」という条件で貸し出す方法もあります。空き家の買い手としては自分のお金を使ってリフォームをする必要が無いので、安く済ませることができます。
借主にとっても、借主負担でのDIYはメリットがあります。昨今のDIYブームもあり、「自分好みの家を作って住みたい!」と考えている人は大勢います。このようなタイプの人々は、「空き家を借りられて、自分で好きなようにDIYして良い」という物件に目がないこともしばしば。愛着を持って長く住んでくれる人も多く、安定した収入を見込むこともできます。
さらに、DIY好きの借主であれば退去する時に家を最初よりも住みやすい状態にして返してくれる可能性があります。借主が作り変えて良い範囲はどこまでなのかなど、条件を決める必要はありますが、貸主がリフォームするよりお金が浮くのでおすすめです。
リフォームのトラブルを避けるために
失敗例の項目では、リフォーム業者が関係するトラブルについても紹介しました。もちろん優良な業者もいるのですが、悪徳業者も多くて空き家投資の素人が騙されて損をしてしまうことも少なくありません。
リフォームに関するトラブルを回避する方法として、リフォームまで対応してもらえる仲介業者から物件を購入する手段があります。
空き家を専門にしているプロの手によって再生された物件を購入すれば、自力リフォームで挫折することも、泣く泣く見積もり以上の追加料金を払うこともありません。
収益化できる空き家を探すポイント
収益化できる空き家を探すために大切な、以下の3つのポイントを解説していきます。
- 空き家になっている理由を把握する
- 空き家のエリアに需要があるか調査する
- 物件やエリアを自分の目で確認する
以上のポイントを押さえて、ニーズのある空き家を探しましょう。
空き家になっている理由を把握する
大前提として、空き家として放置されている物件は、人気の物件ではありません。そのため、なぜ空き家になっているのか理由を理解し、改善しなければ収益化には結びつきません。
物件が空き家として放置されている理由で最も多いのが、家を所有している人が老人ホームや子供の住宅に住むようになることです。特に駅から遠くて生活するのに車が必要な住宅などは、車を運転できなくなった高齢者にとっては住みづらく、空き家になりやすいです。このような物件を投資目的で買っても、利便性の低さのために入居希望者も少なく、投資に失敗してしまうリスクが大きいです。
一方、利便性が良いのにも関わらず空き家として放置されているケースもあります。親から実家を相続したものの、別にマイホームを所有しており、実家が空き家になっている場合などです。都心の一軒家で空き家として放置されているのは再建築不可物件で建て直すことができない物件が多いです。しかし、住むためにはリフォームに莫大な費用がかかるため、空き家として放置されているのです。この例の実家のように利便性が良い場所の物件であれば、リフォームして住みやすい状態にすれば入居希望者が増えると考えられ、投資で失敗するリスクは低くなるでしょう。
このように、空き家になっている物件には理由があります。その理由を把握することで、賃貸住宅として経営を始めたときに成功しやすいか失敗しやすいかを見極めることができます。
空き家のエリアに需要があるか調査する
空き家になっている理由を把握したら、賃貸物件としてニーズがあるかどうかを調査します。その空き家に住みたいと思う人が多いのか少ないのかを調査しましょう。
ニーズを見極めるには、賃貸需要を調査します。一般的には、以下のようなポイントを多く満たすほど賃貸需要が高いエリアと言えます。
- 空き家から駅への距離が近い
- 都心部へのアクセスが良い
- 複数路線が利用できる
- スーパーやコンビニ、ドラッグストアなどが近くにある
- 病院、銀行、警察署などの施設が近い
- 暗くなってからの治安が良い
以上のような観点で、人が住みたいと思うエリアなのかを評価しましょう。
また、物件のタイプによって入居希望者のターゲットが異なります。一戸建てなら家族、ワンルームマンションなら単身の会社員や学生が主なターゲットになるので、ターゲットが必要とする施設へのアクセスも確認しましょう。家族向けなら学校が近い方が良いですし、学生がターゲットなら大学へのアクセスの良さを重視します。
物件やエリアを自分の目で確認する
空き家に限らずですが、不動産投資を始める際は必ず現地に足を運び、物件の状態やエリアを確認しましょう。内覧せずに購入してしまうと、想像よりもボロボロの物件だったり、住みやすいとは言えない地域だったりすることがあるからです。
特に空き家投資の場合、競売で安く購入することがあります。しかし内覧できないという落とし穴があるため、想像よりボロボロの物件を購入してしまい、リフォーム費用が莫大にかかってしまったという初心者の方が大勢います。
このような失敗を防ぐためには、自分の目で物件やエリアを確認することが重要です。空き家を購入する前に足を運んで確認し、自分だったら住みたいと思うかといった観点で空き家をチェックしましょう。
需要を高める空き家リフォームのポイント
空き家を購入したらリフォームをしてから入居希望者に貸し出すのが一般的です。しかし、気になる箇所をすべてリフォームして新築同様にするとリフォーム費用が膨大になってしまい、投資に失敗する原因となってしまいます。
そのため、すべてをリフォームして新築同様にするのではなく、メリハリの効いたリフォームが空き家投資を成功させるための秘訣となります。この章では、空き家をリフォームする際のポイントについて解説していきます。
競合の物件と差別化する
リフォームは、近くにある同じような条件の物件と差別化するために行うのが重要です。周辺の賃貸物件の設備や状態を調べ、空き家を競合よりも魅力的な物件にリフォームしましょう。
空き家を新築同様に変身させようとすると膨大な費用がかかってしまいますが、競合よりも少し魅力的な物件にリフォームすれば良いのであれば、費用を少なく抑えることができます。投資に失敗する原因は初期費用がかさみすぎることなので、競合と比較してリフォームを行うことで費用を抑えましょう。
実際、大がかりなリフォームはクロスの貼り換えだけで済んでしまう事例もあります。水回りの設備はクリーニングだけでも十分に美しくすることができるからです。もちろん故障していれば設備を交換しなければなりませんが、故障した箇所だけの取り換えにするなど工夫をすれば費用は最小限に抑えられます。
人気の設備を導入する
賃貸需要を高めるには、人気の設備を導入するのがおすすめです。新しい設備があるだけでもセールスポイントになるので、空き家投資で失敗する確率を下げることができます。
例えば、バス・トイレ別、独立洗面台といった水回りの設備は人気があって需要が高いです。古い住宅の場合、トイレが和式といったこともありますが、洋式に変更するだけでも入居希望者が増えるでしょう。
また、和室を洋室に変えたり、押し入れをクローゼットに変えるリフォームもおすすめです。現代の生活スタイルだと和室よりも洋室の方が使い勝手が良いと感じる人が多いからです。同じ理由で、押し入れよりもクローゼットの方が人気があります。
このようにピンポイントで人気の設備を導入すると、賃貸需要を高めることができます。
清潔感を重要視する
空き家をリフォームするときは、清潔感を重視したリフォームを行いましょう。クロスや設備を選ぶとき、オーナーが自己満足で個性的な柄のクロスを使ったり、ブランドのシステムキッチンを入れたりすることがあるのですが、空き家投資に失敗するリスクを高める可能性があるからです。
クロスのデザインや設備の使い勝手の感じ方は人それぞれなので、オーナーが良かれと思ってやったリフォームが入居希望者には不評ということもあります。クロスは一般的な白、バスやトイレの設備も一般的なものにするなど、プレーンな住宅にするので十分です。
空き家をリフォームする目的は、清潔感があって人が住みたいと思える住宅にすることです。個性的なデザインで人気になる可能性もゼロではありませんが、空き家投資に失敗する確率を下げるためには、個性よりも清潔感を重視しましょう。
空き家投資について学んでみよう
この記事では空き家投資で失敗しないための12のポイントを挙げました。失敗をできるだけ回避することで利益を最大限にできるので、ぜひ意識してください。
空き家投資は個人でもできる不動産投資ですが、決して簡単なものではありませんし、リスクを理解していないと失敗してしまいます。失敗例を学んで同じ間違いをしないように気をつけることから、勉強を始めてみてはいかがでしょうか。