不動産投資の中でも利回りの高い「空き家投資」の人気が高まっています。「空き家再生ビジネス」とも呼ばれることがありますね。
空き家投資とは、誰も住んでいない状態で放置されている家屋をリフォームし、賃貸物件などとして貸し出す投資です。20%程度の利回りを可能なので、気になっている人も多いのではないでしょうか?
ですが空き家投資はまだ新しいビジネスなので、ネット上にあまり多くの情報がありません。特に法律や専門用語が多くて、情報収集の段階で投資を諦めてしまう人が多いのです。
この記事では、空き家投資の初心者が躓きやすい用語について解説していきます。投資を始める前に知っていた方が良いことばかりなので、この記事を読んでから投資を始めてください。
空き家投資に関する用語
空き家投資には複雑な法律が絡んでいるので、様々な専門用語が登場します。まずは初めに押さえておきたい次の6つの用語について解説していきます。
- 空家等対策の推進に関する特別措置法
- 固定資産税
- 補助金
- 改正建築基準法
- 旅館業法
- 住宅宿泊事業法(民泊新法)
空家等対策の推進に関する特別措置法
「空家等対策の推進に関する特別措置法」は、全国で増え続ける空き家対策のために作られた法律です。2014年11月27日に公布、翌年2月26日に施行されました。
実は、日本の人口は減っているのに対して、空き家の数は増えているのです。新しい世代が実家を使わずに新たな物件を買ってしまうので、前の世代が使っていた住居が空き家のまま放置されてしまうためです。
そのまま放置すれば倒壊等の危険性がある建物や、衛生上有害となりうる物件、景観を損なっている建物、放置することが不適切である状態の物件は、「特定空き家」に該当します。これも特別措置法によって定められています。
各自治体から特定空き家に対する改勧告があると、固定資産税の軽減が受けられなくなってしまいます。つまり、誰も住んでいない空き家に対し、相続した人は多額の固定資産税を支払わなければならないのです。
当然ながら、ボロボロになった空き家は売れにくいので、持ち主は「住めない、売れない、税金が高い」の三重苦に。この問題に目をつけ、空き家を有効活用するのが空き家投資です。
なお国土交通省は、1年以上にわたって人が住んでいない、または使われていない家を「空き家」と定義しています。
固定資産税
固定資産税とは、その年の1月1日時点で土地や家屋を所有する人が、市区町村の自治体に支払う税金です。東京だと23区に納めます。
持ち家の人は、自分の土地や家屋にかかる税金を納めているはずです。固定資産税には軽減制度があり、住居用であれば最大6分の1に軽減されます。
固定資産税は、誰も住んでいない空き家にもかかります。空き家についても、以前は最大6分の1になる軽減措置がありました。
しかし、前述の「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行されたことによって状況は変わってしまいました。「特定空き家」に該当すれば、固定資産税は全国一律の1.40%です。施行前と比べて、最大6倍もの税金を支払わなければなりません。
法律の改正により、空き家の持ち主は以前より多く課税されることとなってしまいました。つまり、特定空き家は今すぐに活用して税金を減らした方が得なのです。
補助金
空き家問題を解決するため、各自治体から補助金を得られるケースもあります。大きく分けると、補助金は次の3種類です。
2. 空き家の改修に対する補助金
3. 空き家の取得に対する補助金
このうち、2の「空き家の改修に対する補助金」は、主にリフォーム費用に充てることができます。改装して綺麗にしないと、いつまでも入居者がつかない空室物件になったり、家賃を引き下げざるをえなくなったりしてしまいます。
なお、自治体によって補助金を実施しているところと実施していないところがあります。具体的には都道府県や市町村のホームページや問い合わせで確認してください。
下記サイトでは地域別で空き家関連の補助金が確認できます。
改正建築基準法
2019年6月25日に、改正建築基準法が施行されました。この法律は、空き家を店舗やシェアハウスにして活用するとき、条件を満たせば申請が不要になると言う緩和策です。空き家の使い道が広がるので、投資家にとっては大歓迎の法改正です。
改正前の法律では、建物の延べ床面積が100平方メートルを超える物件については、建築確認申請が必要でした。つまり、申請が不要だったのは延べ床面積が100平方メートルの建物です。
改正建築基準法では、基準が100平方メートルから200平方メートルに変更されました。延べ床面積が200平方メートル以下の場合は申請が不要となったのです。
国土交通省によると、戸建住宅の面積の割合は、100平方メートル未満が約3割、100〜200平方メートル未満が約6割を占めています。法改正によって約6割の戸建て住宅において手続きが不要となるため、空き家投資のチャンスが広がったと言えるでしょう。
とはいえ、住居用の建物を店舗やシェアハウス用の建物にするなら、それなりのリフォームは必要になります。建築基準法以外にも消防法などの定める内容も参照が必要です。
出典:ヤマト防災設備有限会社 知らなきゃいけない!消防の決まりごと
旅館業法
空き家を再生して、民泊として営業するのも人気の投資法です。ですが、民泊を始めるには次の3つのどれかを満たす必要があります。
- 旅館業法の「簡易宿所」
- 民泊条例の特区民泊
- 民泊新法の民泊
旅館業法とは旅館やホテルの定義や営業について定めた法律で、民泊をこの法律に当てはめると簡易宿所となります。簡易宿所とは、宿泊する場所を複数人で共用する施設で、宿泊が有料の施設のことです。分かりやすい例を出すと、ペンションは簡易宿所に該当します。
簡易宿所として営業をするなら、広さや換気・排水設備などに定められた要件をクリアする必要があります。空き家の改修時に対応しなければならないので、用途を決めてからリフォームしましょう。
民泊としてサービスを開始するには、保健所への申請が必要です。施設を検査して問題が無ければ承認となりますので、民泊の営業を始めることができます。
住宅宿泊事業法(民泊新法)
民泊新法は、2018年6月15日から施行された法律です。旅行業法に基づく許可を取らなくても、民泊を営業できるようになったので、大きな規制緩和となりました。
規制緩和の内容を具体的に言うと、住居をそのまま民泊の施設に利用できるようになりました。地域によっては旅館やホテルを建てられない場所もあったのですが、住居は民泊として利用することで、宿泊施設の代わりに営業できるようになったのです。
住宅宿泊事業として使う物件なら、スプリンクラーなど、旅館やホテルには必須の設備が無くても営業は可能です。空き家投資の初期費用が抑えられるので、投資家にとっても嬉しいですよね。
また、旅館業法では営業を始める前に申請して許可を貰うことが必要でした。しかし、民泊新法では届出を出せば営業可能です。民泊新法の施行により、民泊を始めるにあたってのハードルも大きく下がることとなりました。
空き家投資を始めるなら
空き家投資に関する税金や法律について解説をしてきました。
建物の改修や税金が絡むため、空き家投資には多くの法律が絡んでいます。基本的な知識を押さえ、空き家投資に役立ててください。もっと詳しく知りたい方はセミナーに参加してみることをおすすめします。