夏になると毎年大規模水害が日本のどこかで起こっている昨今ですが、いざ、不動産投資をしようと思い立った時に、心配になるのは災害リスクと資産価値の関係です。
実は、災害リスクが高いからといって即資産価値に影響が出るわけではありません。
この記事では、災害リスクと資産価値の関係性の解説と、投資物件を選ぶ時のハザードマップの活用方法をお教えします。
基本的なハザードマップの知識や使いかたを学ぶことができ、適切な物件選びの知識を身につけることができます。
目次
水害リスクは空室リスクに直接影響するのか
2020年の8月28日より、売買、賃貸の重要事項説明時に「水害ハザードマップ」をもとに、水害リスクについて相手方へ伝えることが義務化されました。
今まで説明義務がなかったことも驚きですが、これにより明確に水害のリスクがあることを伝えなければいけなくなりました。
水害については、日本の国民であればそのリスクの大きさは誰しもが理解しています。
よって、水害リスクのある投資物件は、家賃を安くするなどの対応をしなければ空室リスクにさらされる可能性があります。
とはいえ、ハザードマップの浸水危険エリアに入っている物件は”収益物件として機能しない”とは言い切れません。
ハザードマップ浸水危険エリア内の物件をあえて買うのは?
誰もが敬遠するなら、あえて買ってみるのはどうなんだろう?と、逆張り的に考える投資家もいます。
ハザードマップの浸水危険エリアの物件はトータルバランスで見て価値があるケースがあるからです。年に数回あるかどうか分からない水害リスクと、日々の交通アクセスの良さや生活のしやすさを考えるとどのような価値が見いだせるのかがポイントです。
実際に、数年前に水害に見舞われた武蔵小杉のタワーマンションの資産価値は、思ったより下落していません。水害リスクと交通アクセス、住むにあたっての利便性を考えるとまだまだ価値があるという市場の答えが出されています。
災害保険と修繕積立費を忘れずに
本質的な価値がある物件であれば水害リスクがある物件でも、避難場所の確保など、リスクヘッジでき、リスクよりも利便性が勝る場合は買う価値があります。
リスクのある物件を買う場合は、災害保険で万全な対策を行い、急な出費に対応するために手元資金も余裕をもっておきましょう。
災害リスクも考慮した物件選び
前述のように、今後は水害のリスクがある物件には説明義務を負うことになりました。住む側としては、どんなに気に入った物件でも「水害のリスクがあります」と説明されれば、一旦契約を躊躇してしまいます。
このため魅力的な物件であっても、水害リスクを念頭において購入を選択する必要があります。
災害保険や手元資金で補い、リスクヘッジができる物件であれば買う価値がありますが、水害リスクが上回ってしまう場合は、候補から除外する必要があります。
物件の選択にはハザードマップの確認が欠かせない要素となりました。次の章からは国土交通省がWebサイトにアップロードしている、ハザードマップの活用方法を詳しく解説していきます。
ハザードマップの確認方法
ハザードマップの確認は国土交通省がWebサイトにアップロードしているものを使いましょう。
専門家の綿密な調査の上に作成されたマップなので信用性が高いからです。
ハザードマップには、重ねるハザードマップと、わがまちハザードマップの2種類があります。わがまちハザードマップは自治体のサイトへのリンクとなっており、より細かな情報を入手することができます。
【重ねるハザードマップ】大まかに情報を確認したい場合
ハザードマップポータルサイトへ遷移すると、最初にこちらの画面になります。「重ねるハザードマップ」と「わがまちハザードマップ」とありますが、まずは重ねるハザードマップから解説します。
大まかな住所を入力し、左側のリンクをクリックすると、重ねるハザードマップのページへ遷移します。
こちらは、数年前に多摩川の洪水でクローズアップされた武蔵小杉近隣のエリアです。当時は多摩川の氾濫によって、タワーマンションの機能が停止してしまいました。
左上には、「洪水」「土砂災害」「津波」「道路冠水」の4項目が用意されています。
それぞれの項目をクリックすると、ハザードマップが表示されます。
こちらは洪水の項目をクリックした時の画面です。武蔵小杉エリアはこのような状況となっています。多摩川の近くということもあって、洪水のリスクが高くなっています。
色のついたエリアをクリックすると、浸水時の高さが吹き出しで表示されます。薄い色のところでも、0.5~3メートルの浸水予想が表示されています。このあたりの洪水リスクは高めですね。このハザードマップはよくできていて、とても便利です。
武蔵小杉エリアでは、津波のハザードマップはありませんでした。津波のリスクは無しと考えてよさそうです。
こちらは土砂災害のハザードマップです。多摩川沿いに少し土砂災害の危険エリアがありますが、このあたりは多摩川からの洪水リスクがもっとも高いということができます。
こちらは道路冠水情報です。ちいさなビックリマークの表示があるところが、危険ポイントです。
こちらをクリックし詳細画面へ遷移すると、以下のような画面になります。
近隣の地図や詳細情報、画像が表示されます。道路の冠水情報は投資物件の選定指標としては薄いかもしれませんが、近隣の利便性を見るという点では大事なポイントです。
近くに住んでいる方にとって、このハザードマップポータルサイトはとても便利で欠かせないものです。一度は目を通しておきたいところです。
【わがまちハザードマップ】住んでいる地域の情報を細かく知りたい
わがまちハザードマップは、より細かな情報を入手することができます。自治体ごとに発表されている危険項目のリンクがあり、クリックすると自治体のサイトへ遷移します。
こちらは世田谷区をクリックしたときの画像です。世田谷区では、洪水、内水、土砂災害のハザードマップが公開されておりリンクが設定されています。
以下の遷移先にて、詳細なハザードマップが公開されています。
なお、内水ハザードマップとは地下からマンホールを跳ね上げて湧き出してくる浸水のことです。
参考:世田谷区公式ホームページ『世田谷区洪水・内水氾濫ハザードマップ(多摩川洪水版、内水氾濫・中小河川洪水版)』
不動産投資物件を検討する場合は、近隣エリアのハザードマップをダウンロードして確認しておくことは必須です。
災害エリアを把握して投資物件を探す
ハザードマップの危険エリアに入っていると、投資物件として不適格のような気もしますが、需要バランスを考えるとお買い得物件の場合があります。
入居している間の罹災率と利便性を天秤にかけた時に、危険エリアだとしても入居するメリットの方が多いと判断する入居者がいるからです。トータルでの損益を考えることが大事です。
とはいえ、物件の賃貸、売買の際に水害リスクの告知が義務となりましたので、物件選びにはハザードマップによる災害リスクの確認が必須です。
国が性能のいいハザードマップツールを用意していますので、こちらを使ってあらかじめ情報を取得しておきましょう。
これからは、いい物件探しには災害リスクも考慮しなければいけません。
物件選びは不動産投資をするうえで大変重要な要素です。セミナーでもよくテーマになっていますので、チェックしてください。講師に直接質問をしたり、先輩投資家からアドバイスをもらうと、目利き力は加速します。
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