「定年退職を迎えるけれど、退職金を受け取る際に注意しなければいけないことはあるのだろうか?」
「退職後に国民健康保険に加入する場合は、高い保険料を支払わなければいけないのではないか?」
と不安に感じている方もいるかもしれません。
実際に、退職金を受け取る際の知識を身につけておかなければ、高い税金や国民保険料を支払わなければいけなくなってしまい、支払いに関して不安はつきまとってしまうでしょう。
そのため、退職金制度について、正しい知識を身につけておきましょう。この記事では、退職金制度の種類をはじめ、退職一時期制度について分かりやすく解説します。
目次
退職金制度の種類
退職金制度には「退職一時金制度」「退職年金制度」「退職金前払い制度」があります。
退職一時金制度
退職金を一括で支給する制度です。
企業にとって、規定を自由に決められて資金流用ができるメリットがありますが、支払う金額が大きく負担がのしかかるデメリットもあります。退職一時金は、「退職所得」と計上され、退職所得控除が適用されます。
退職一時金制度と退職年金制度で税制面で優遇が高いとされているのは、退職一時金制度です。そのため、一般的に退職金と呼ばれるものは、退職一時金を指しています。
退職年金制度
退職金を分割させて利息を上乗せして支給する制度です。
退職年金を外部委託すると、企業は支払い金額を標準化でき、保険料を全額損金算入できるので税制面で有利になります。
しかし、年金は「雑所得」扱いとなるため、退職所得控除は適用することはできません。退職所得控除は適用できないため、退職一時金のような高い節税効果は見込めません。
前払い制度
前払い制度は、在職中に退職金を前払いする制度のことをいいます。
毎月の給与に上乗せする形で支払われます。これまでの雇用形態は年功序列型が多かったですが、近頃は成果主義型を採用する企業が増えてきました。
これまでは、新卒で入社した企業に定年まで勤めることが美徳とされていたのです。しかし、近頃は、転職を繰り返しながらキャリアアップしていく働き方をするのが一般的になってきており、働き方の変化が起きています。このような変化に対応するために、前払い制度が登場しました。
補足:退職金制度がない企業もある
退職金制度は、大企業ほど整備されていますが、企業にとって大きなコストになるため、経営的な体力の低い小規模な企業では退職金制度は設けられていません。退職金制度を設けないことは、違法ではないからです。
厚生労働省の調査によると、30人以上の従業員がいる会社で退職金制度がない企業は19.5%※という報告がされています。そのため、退職金制度がない企業は少数派と言えるでしょう。
※出典:厚生労働省「平成30年 就労条件総合調査」
退職一時金制度で退職金を受け取るメリット
退職一時期制度でも、さまざまな恩恵が受けられます。
退職所得控除が適用される
退職一時金は、退職所得として受け取り、課税額の計算では、勤続年数に応じた金額が給付額から控除できます。この控除を退職所得控除といいます。長期勤続者ほど退職所得控除の額が大きくなるなどの優遇措置がとられています。
勤続年数20年以下の場合 | 40万円×勤続年数 (※80万円に満たない場合は80万円) |
勤続年数20年超の場合 | 800万円+70万円×(勤続年数-20年) |
退職所得金額に1/2計算が適用できる
退職一時金で受け取ると、退職手当金等の収入金額から退職所得控除を適用した残額の1/2が課税対象額となる優遇措置もとられています。退職所得控除と1/2計算を適用すれば、節税ができるので、税制面でお得になります。
分離課税である
退職一時金は退職所得となり、事業所得や給与所得などとは別で算定される分離課税です。分離課税とは、他の所得と合計しないで独自の税率をかけて税額を計算する方法をいいます。退職一時金を得た場合、税負担が著しく大きくなってしまうことを懸念し、分離課税が採用されています。
社会保険面でも優遇される
退職一時金は、給与所得とは別で退職所得の扱いとなります。そのため、給与所得のように健康保険・雇用保険・厚生年金の社会保険がかかりません。
退職後に国民健康保険に加入する場合は、国民健康保険料は支払わなければいけませんが、保険料の計算で対象となる前年度所得の対象外となるため、社会保険料の面でも優遇されます。
退職一時金制度と退職年金制度を徹底比較
退職金には主に2つの制度がありますが、退職一時金制度と企業年金制度のメリット・デメリットを把握しておきましょう。
メリット | デメリット | |
退職一時金制度 |
|
多額の資金を手に入れられるので無駄遣いをしてしまう |
退職年金制度 |
|
|
退職一時金を適切に受け取るためのポイント
退職金を受け取る際に損をしないため、適切に受け取るためのポイントを押さえておきましょう。
勤務先の退職金制度について理解を深める
退職金制度がある勤務先であれば、会社の規定で退職金に関することも記載されています。そのため、必ず確認しておきましょう。
【規定の例】
- 入社後、一定期間(3年・5年)を経過した従業員が対象
- 勤続年数によって基本給×規定の数値で算出する
- 役職者は役職により増額する
- 自己都合による退職は規定により減額する
退職所得控除を適用して税負担を軽くする
退職一時金を受け取る際に、退職所得控除を適用する場合は「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に提出しなければいけません。この申告書の提出を忘れてしまうと、退職所得の20%が所得税として源泉徴収されてしまうので注意してください。
退職所得控除を適用しなければ、20%分の税金が重くのしかかるため、少しでも多くの退職金を受け取るためにも控除を上手に適用しましょう。
受け取り方を専門家に相談する
企業の中には、退職金一時金制度と年金エイドを併用しているケースもあります。このような場合は、好きな退職金の受け取り方を選択できます。しかし、退職後のマネープランは各人で異なります。そのため、どのように退職金を受け取るかを考えましょう。また、どうすれば良いか分からない場合は、ぜひ、FPなどの専門家に相談をしてみましょう。
まとめ
この記事では、退職金制度について解説しました。
制度には、退職一時金制度と退職年金制度の2通りの制度があります。退職一時金制度であれば、分離課税となり、高い節税効果が見込めます。しかし、退職一時金は多額の金額を一度で受け取ることになるので、すぐに使い切ってしまう人は注意しなければいけません。
人生100年時代とも言われています。65歳から100歳まで安心して生活するためにも、資産運用を考えてみましょう。
退職金で不動産投資を初めて、不労所得を得る方が増えてきています。不動産を所有している限りは、毎月安定収入が見込めるので100歳まで安心して生活していくことができるでしょう。
これからは、資産運用をしていくことが大切な時代となります。そのため、ぜひ、資産運用セミナーや不動産投資セミナーに参加をして、老後の暮らしについても考えてみてください。
不動産投資セミナー
人気の不動産投資セミナーです。東京・大阪・福岡など首都圏を中心に多くの不動産投資専門家によるセミナーが開催されています。不動産投資を始める前に是非勉強して下さい。