東京商工リサーチの調査「上場企業の早期・希望退職実施状況」によると、早期退職を希望する上場企業は増加しており、2019年度の早期退職希望者は1万1,351人と過去5年間で最多という結果になりました。
このような調査結果から、定年退職前に仕事を退職するのも1つの選択肢だということが分かりますが、早期退職をするためには何を準備すれば良いのでしょうか?
安易な気持ちで、早期退職を決断すると後悔してしまうので、事前準備をしておきましょう。
ここでは、早期退職するために準備しておきたいことをご紹介します。
目次
早期退職するために知っておきたい制度
まずは、早期退職するために知っておきたい制度をご紹介します。
早期希望退職制度
希望退職制度とは、会社側が従業員の主体的な退職を募ることをいいます。人員整理をするときに行われることが多いので、リストラ前段階であることが多いです。希望退職制度は、法的拘束力はないため、会社側から強制することはできません。
希望退職を申し出る場合は、割増の退職金が得られ会社都合での退職となるため、失業給付金の支給がすぐに開始されます。また、失業給付金の給付期間が長いなどの恩恵も受けられます。しかし、会社都合の退職でも再就職は難しくなるため、メリット・デメリットを踏まえた上で決断するようにしましょう。
選択定年制度
選択定年制度とは、50歳・55歳と区切りの良い年齢に退職時期を設定して、その年齢に達した地点で退職する制度です。設定した時期に退職した者には、割増退職金を支払うなどの優遇措置が施されています。
逆に定年制度の年齢に達したにも関わらず、在籍をしていると給与支給額が下がるなどの、逆インセンティブが設定されていることも多いようです。日本の法律では、60歳未満の定年制は禁止されているため、50歳・55歳で退職しなければいけない義務はありませんが、給与支給額の減額対象になるので、選択定年制度が設けられているかを良く確認しなければいけません。
早期退職に関する制度が登場した背景
日本に根付いている終身雇用制度は、安定的な雇用を生み出す一方で、管理職の交代が少なくなり組織の硬直化につながります。硬直化を防ぐために早期退職制度を活用する企業も多いです。また、組織のスリム化を図るときにも、早期退職を募ることがあります。
大企業でも早期退職制度は利用されており、富士通で2,850人、コカ・コーラで950人の早期退職者を募集したことは大きな話題にもなりました。
早期退職するために準備しておきたいこと
早期退職を叶えるためには、事前準備が欠かせません。実際に、どのような準備をすれば良いのでしょうか?ここでは、早期退職するために準備しておきたいことをご紹介します
積極的に情報収集を行う
早期退職で避けたいのは、上乗せされた退職金額や求人倍率などの情報に楽観視してしまうことです。貯金や不労所得がないまま、安易な気持ちで早期退職を決断してしまうのは避けましょう。
また、優遇された退職金で不動産投資を始める人も多いですが、誰もが簡単に成功して不労所得を得られるわけではありません。投資は成功することもあれば、失敗に終わってしまうこともあります。そのため、早期退職後の生活を楽観視するのは控えて、本当に早期退職することができるのか、積極的に情報収集を行うようにしましょう。
会社以外でも相談相手を見つける
早期退職をして本当に自由で快適な生活が送れるのか、1人で悩まずに相談相手を見つけましょう。実際に、早期退職をしている友人がいる場合は、友人に相談をしてみると何を準備すれば良いかが明確に分かるはずです。
また、早期退職を希望しているけれど、リタイア後の生活に不安を感じている方は、ファイナンシャルプランナー(FP)に早期退職をしても大丈夫なのか、アドバイスを受けてみましょう。
十分な貯蓄があるかを確認しておく
早期退職する前に確認しておきたいのが貯金額です。これまでのように固定収入が振り込まれないことを踏まえて、本当に生活ができるのかを良く検討してみましょう。
生活水準を満たす備えがない状態で早期退職を決断することは、人生の大きなリスクを背負うことになるため注意してください。50代以上の再就職は、キャリアがある人でも難しくなるため、安易な気持ちで早期退職することはおすすめしません。
家族の同意を得ておく
早期退職を自分の判断で決断してしまうと、家族間の信頼関係が崩れて、わだかまりができてしまいます。このようなトラブルを回避するためにも、早期退職を自分自身で決断するのではなくて、家族に相談をして同意を得ておきましょう。
家族の理解を得るには時間がかかることが多いですが、ゆっくり時間をかけて相談し合うことが大切です。
リタイア後の生活費を計算する
早期退職をするためには、退職後に必要な生活費を計算しておきましょう。公益財団法人生命保険文化センターが発表している老後の生活費は以下の通りです。
項目 | 金額 |
---|---|
食料費 | 68,646円 |
交通・通信費 | 28,598円 |
教養娯楽費 | 24,054円 |
光熱・水道費 | 21,742円 |
住居費 | 14,801円 |
保険医療費 | 14,693円 |
家具・家事用品費 | 9,964円 |
被覆及び履物費 | 6,402円 |
教育費 | 346円 |
社会保険料等 | 29,856円 |
その他 | 50,688円 |
合計 | 269,790円 |
(出典元:公益財団法人生命保険文化センター「老後の生活費はいくらくらい必要と考える」)
リタイア後の収入源を確保する
早期退職をする場合、リタイア後の収入源を確保しなければいけません。年齢によっては、年金受給対象者でないこともあるため、退職時に受け取った退職金が資金となります。
また、不動産投資などを行っている場合は、不労所得として毎月安定した家賃収入ができます。収入源を確保していない場合は、貯金を切り崩して生活していかなければいけません。そのため、早期退職後も安定した不労所得を得る方法を考えてみましょう。
年金の受け取り可能額を調べておく
老後の暮らしの主な収入源となる年金の受給額を調べておくことも、安定した暮らしに欠かせません。そのため、自宅に日本年金機構から送られてくる「ねんきん定期便」を確認して、どれぐらいの年金を受給できるかを調べておきましょう。政府統計の発表では、65歳以上の夫婦の平均支出は約25万円となっています。この金額を上回っていれば、余裕のある暮らしを送ることができるはずです。
再就職が難しいことを理解しておく
早期退職を安易な気持ちで決断してしまって、リタイア後の生活費が確保できずに再就職を希望する方もいます。しかし、早期退職後の再就職は簡単ではないことを理解しておきましょう。近頃は、働き盛りの40代でも再就職が難しい時代です。
実績を持っていたビジネスパーソンでも、就職先にポストの需要がなければ就職することはできません。そのため、早期退職をしたら、基本的には再就職が難しいことを理解しておきましょう。
早期退職を希望するなら資産運用方法を学ぶべし
早期退職をするためには、退職後の生活を問題なく送っていくことができるのか、収入源の確保・貯蓄の確保・生活費のシミュレーションが必要になります。再就職ができると楽観的に考えることは控えましょう。早期退職者の再就職は難しいです。
しかし、割増された退職金で不動産投資を始めて、資産を増やすことはできます。資産運用が上手くいけば、老後の暮らしもより安定するはずです。
そのため、早期退職を希望している方は、セミナーに参加をして資産運用方法を学んでみてください。
不動産投資セミナー
人気の不動産投資セミナーです。東京・大阪・福岡など首都圏を中心に多くの不動産投資専門家によるセミナーが開催されています。不動産投資を始める前に是非勉強して下さい。