実物資産に投資をする理由とは?メリット・デメリットを徹底解説

資産運用や資産管理に興味を抱く人は増えてきていますが「実物資産」を保有する人は意外に少ないです。本当に金融に長けている人は実物資産を保有していますが、どのような魅力があるのでしょうか。魅力について理解を深めた上で、資産運用することが大切です。この記事をご覧いただけば、実物資産に投資をする魅力がわかります。

実物資産とは「形を有し自ら価値を持つ」資産

不動産物件の模型
実物資産とは形を有しており、それ自体が価値を持つ資産のことです。さまざまな種類があるため、一括りにするべきではありません。また、各資産の特徴(メリット・デメリット)について理解しておくことが大切です。後で詳しく解説していきますが、実物資産の特徴は以下の通りです。

実物資産の特徴(メリット・デメリット)

不動産 〇不動産価格が上昇すれば、不動産売却益が得られる

〇賃貸経営を行えば安定的な不労収入が得られる

×自然災害による倒壊や損傷のリスクがある

×不動産の維持コストは高い

貴金属 〇インフレに強くて価値が暴落することがない

〇貴金属は世界共通の資産で取り扱いやすい

×貴金属の価値が高騰することは少ない

×盗難被害に遭うと貴金属の価値がなくなる

コレクション品 〇趣味として楽しむことができる

〇希少性のあるコレクション品は価値が高騰する

×コレクション品の盗難に遭う恐れがある

×コレクション品の価値が下落することもある

金融資産とは「形が有さず自ら価値を持たない」資産

形を有さず自ら価値を持たない資産を「金融資産」といいます。金融資産の代表的なものとしては、現金・株式・投資信託などがあります。これらは、物自体に価値はないですが、政府や金融機関、起業などが価値を保証していることが実物資産との大きな違いです。

金融資産の特徴(メリット・デメリット)

現金 〇どのような物に対しても互換性がある

〇デフレ(物価下落局面)に強い

×インフレ(物価下落局面)に弱い

×持っているだけでは利子がつかない

株式 〇株価が上がれば譲渡益が期待できる

〇条件を満たせば配当金が受け取れる

×株式発行体の企業の業績に株価が左右される

×企業が倒産すると価値が0に近くなる

投資信託 〇知識がなくても投資のプロが運用してくれる

〇投資対象のバリエーションが豊富

×景気に左右されることが多く、基準価額の下落リスクがある

×手数料が発生する

日本銀行の資金循環の日米欧比較調査によると、2020年8月現在で日本人の家計の金融資産の割合は現金・預金が54.2%、投資信託が3.4%、株式等が9.6%となっており、過半数以上が現金・預金の割合が高くなっています。

一方で、アメリカの金融資産の割合は、現金・預金が13.7%、投資信託が12.3%、株式等が32.5%。ユーロエリアでは、現金・預金が34.9%、投資信託が8.7%、株式等が17.2%となっています。

国民性があるにせよ、日本人の現金・預金の保有率の高さは外国諸国と比較してみると圧倒的な数字です。

日本人は昔から「頑張って仕事してお金をしっかり貯めなさい」という教育は受けていますが、貯めたお金を投資して殖やす教育は受けていません。

そのため多くの日本人が投資はせずに、お金を得て貯め続けるだけとなっています。

また1970年代の銀行預金金利は5~7%が平均的で、わざわざ投資をしなくても銀行に預けておけば勝手にお金が殖えていました。

しかし2000年代に入ってからは超低金利時代の突入で、銀行預金金利が0.001%という水準まで落ち込み、預金金利を期待することができなくなっています。

そのため今後は投資ニーズの高まりを受けて、金融資産の中でも現金・預金の比率が低下する傾向に向かうと考えられます。

参考:日本銀行調査統計局『資金循環の日米欧比較』

実物資産の3つの種類

実物資産を大きく分類すると(1)不動産(2)貴金属(3)コレクションに分類できます。

(1)不動産

不動産は、不動産価値が上がったタイミングで売却して利益を得るほか、賃貸経営で不労所得を得る方法があります。不動産投資は不労所得が得られる方法として注目を浴びていますが、火災や地震の自然災害リスクや、空き家の増加に伴う空室リスクも見据えなければいけません。

また、不動産所有者は固定資産税や都市計画税を支払わなければいけません。そのため、不動産購入する場合は、専門知識を身につけましょう。

(2)貴金属

実物資産としてイメージしやすいのが、貴金属(金・銀・プラチナ・ダイヤモンド)です。
従来から、金が富の象徴でしたが資産価値が安定しています。お金は、インフレ発生時に価値が目減りする恐れがありますが、貴金属は唯一の世界共通の資産です。
将来起こりうる年金額や現金価値の目減り分を、金を保有して補うことができます。また、自然災害リスクも心配ありません。

金投資が勧められる理由と金で儲けるために注目すべきこと

(3)コレクション

コレクション(アンティークコイン・クラシックカー・油画・ワイン)も実物資産に該当します。これらのコレクションは、希少性や物の状態で大きく影響するため、価値が安定しているとは言いにくいです。

しかし、年月が経過するほどプレミア価値がつくこともあります。近頃は、転売目的でコレクション品を買い集める人が増えてきています。

実物資産に投資するメリット

実物資産に投資するメリットは、以下のようなものがあります。

価値が下落しにくい

金融危機や景気変動が起こると、預貯金や株などの金融資産の価値は下落しますが、実物資産であれば、下落しにくいです。絶対に影響が出ないわけではありませんが、株価の暴落のような被害は起きません。株価のような暴落の心配がないことから「安定資産」とも呼ばれており、一部の資産家から支持を集めているのです。

インフレに強い

インフレが起きると、物価が上がっていくと同時にお金の価値が下がっていきます。日本はインフレの被害が出ていませんが、南米のベネズエラでは、物価上昇率が229万%を記録。この数値はニュースでも報道されましたが、物価が急激に上昇してお金の価値がなくなってしまうのです。

そのため、ベネズエラの銀行に預貯金をしても、紙くず同然になってしまうのです。しかし、実物資産であれば、このような心配はありません。

活用方法によって収益が得られる

実物資産を活用して収益を得ることもできます。例えば、不動産所有者は売却だけではなく賃貸経営が行えます。賃貸経営が上手くいけば、安定的な家賃収入が得られるでしょう。

また、コレクション品などの転売で収益を上げている人も増えてきました。希少性の高いプレミア品は、購入価格より高値で売れます。この価値を見極めて収益を上げている人が一定数います。

レバレッジを効かせられる

レバレッジとは少ない自己資金で大きな金額を動かせる効果のことです。FX(外国為替証拠金取引)ではよく使われる手法で、てこの原理に例えられたりもします。

実物資産の中でも不動産投資は融資を活用することでレバレッジを効かせられます。

銀行で「株式投資をしたいのでお金を貸してください」と言っても、ほとんどの場合融資は受けられませんが、不動産投資は融資を受けてローンを組むことができます。

これは不動産投資が実物資産であることが理由で、仮に債務者(融資を受けた人)が返済できなくなっても、銀行としては不動産を取り上げて競売にかければ資金を回収することができるためです。

不動産投資で融資を受ける場合、家賃収入とローンの差額がプラスになれば、初期投資0でも利益を期待することができます。

リスクヘッジが可能

実物資産の種類によっては、資産形成をする上でリスクヘッジが可能になります。

特に金の価格は景気と反比例するといわれ、好景気の時には金価格は下がり、不景気の時には金価格が上がる傾向があります。

そのため金価格が比較的安い好景気の時に金を購入し、不景気で金価格が上がった時に売却すれば値上がり益が期待できます。

資産運用では適切なリスクヘッジが大切であるため、金などの実物資産の活用は必須といえます。

実物資産に投資をするデメリット

実物資産に投資をするとメリットもありますがデメリットもあるため、気をつけてください。

価値下落リスクがある

実物資産は形があるため盗難される危険性もあります。貴金属やコレクション品が盗難されたら、価値はゼロになってしまいます。不動産の場合は、地震や火災などの自然災害で倒壊や破損してしまうかもしれません。このような自然災害で建物が倒壊した場合は、多額の修繕費用がかかります。

このように、価値が下落するリスクがあります。そのため、コレクション品や貴金属は預かりサービスを利用したり、不動産には保険を付与したりしておきましょう。

維持コストがかかる

実物資産を保有するためには、コストがかかります。

コレクションや貴金属は、盗難・紛失・破損リスクがあるため、厳重に保管しておく必要があります。セキュリティサービスや倉庫保管サービスの利用をおすすめしますが利用料がかかります。これらのサービス利用料は、月額5,000円程度ですが、1年に換算すると6万円。想像以上に維持コストがかかることは分かるでしょう。

また、不動産所有者は、固定資産税や都市計画税を支払わなければいけません。建物は経年劣化するため、修繕費もかかります。このように維持コストがかかることが大きなデメリットになります。

収益を生みにくい

コレクション品は希少性からプレミアが付くこともありますが、安定した収益が得にくいです。また、貴金属はインフレに強いという魅力がありますが、価値が高騰することは基本的にありません。不動産は収益を生みますが、コレクション品と貴金属は収益を生みにくいです。

実物資産と金融資産どちらに投資すべき?

ここまで実物資産と金融資産の違いや、実物資産のメリット・デメリットについて解説してきましたが、どちらに投資をすればいいのでしょうか?

結論を述べると、どちらにも投資をすべきです。

先述の実物資産のメリットの部分で触れたように、実物資産は種類によって金融資産と逆相関の関係となる場合があります。また不動産については、人が生きていくためには必ず必要となる住まいが投資対象であるため、景気に左右されにくい特徴が挙げられます。
つまり金融資産でリスクをとってリターンを狙い、同時に実物資産でリスクを減らし自分の資産を守れば安定した資産形成が期待できます。

実物資産への投資はリターンを狙うこともできますが、どちらかといえば「守りの投資」といえます。

実物資産と金融資産のどちらかに投資するのではなく、適切な配分でどちらにも投資することを目指していきましょう。

実物資産に投資するなら不動産投資がおすすめ

実物資産をいくつか挙げてきましたが、以下の3の理由からここでは不動産投資をお勧めします。

  1. 価格が安定している
  2. 融資の活用も可能
  3. 物件によっては低価格で購入できる

それでは以下で詳しく説明していきます。

価格が安定している

不動産は他の資産に比べて価格が安定しているといわれます。

たとえば、現在家賃8万円のアパートに住んでいたとしましょう。1年後に大家さんから「来月から家賃を2万円値上げします」といわれたことがある人は少ないと思います。逆もしかりで、来月から急に家賃が2万円も下がることは考えにくいです。

もちろん物件の状態や需要と供給によって多少価格が上下しますが、それでも株価や金価格のように日々激しく変動することはありません。

融資の活用も可能

実物資産のメリットの部分でも触れましたが、不動産投資では融資を活用することができます。手元にお金がなくても、定職があり安定した収入が見込めれば銀行からお金を借りて物件を購入することが可能です。

これは他の投資にはない特徴ですので、不動産投資の特権といえます。

物件によっては低価格で購入できる

いくら不動産投資は融資が活用できるとはいえ、地価が高いエリアや新築物件などでは数千万円以上の金額が必要です。
仮に審査が通り、無事に審査が通ったとしても多額の債務を抱えていく覚悟が求められます。
しかし最近では人口減少によって空き家が増えており、比較的低価格で物件を購入できることをご存知でしょうか?
国も増え続ける空き家問題を解決しようと、自治体と連携して空き家を減少させようとする動きもあり、場合によっては購入価格が0という物件もあります。

なお空き家の多くが戸建てとなるのですが、実は戸建てへの不動産投資は初心者にオススメです。
まず戸建てに住む人のほとんどはファミリー層が中心となります。ファミリー層の特徴は、単身世帯と異なり引っ越しする可能性が低いことが挙げれます。単身世帯であれば自分1人だけが動けばいいですが、ファミリーとなれば自分だけではなく配偶者や子どもの状況も踏まえて引っ越しをしなければなりません。

そのため入居してからの退去リスクが低くなり、投資家としては安定した家賃収入が見込めます。さらに空き家であれば物件購入価格も安いため、初期投資の資金の回収までの時間が短くなります。

実物資産に投資をしよう

不動産投資について理解を深める夫婦
金融資産の価値は不安定で急落する恐れもありますが、実物資産はそのような心配はありません。そのため金融資産だけではなく、実物資産を保有することをおすすめします。

ただし実物資産は初期投資が大きくなる傾向があります。特に不動産投資はローンを組めば初期投資は抑えられますが、数千万円という多額の債務を負わなければなりません。

ところが近年では空き家を所有する人も増えてきました。空き家であれば、少額の自己資金の範囲内でも購入ができて、賃貸経営で不労所得を得ることも可能です

不動産を所有しようと検討している方は、下記から詳しい情報をご覧ください。なぜ空き家投資の人気が高まっているのかがおわかりいただけます。

少額からはじめる空き家不動産投資の秘訣
これから投資を始める人の不動産投資セミナー

不動産投資に興味をもったら、セミナーへの参加をおすすめします。
有益な情報は投資家同士や不動産会社とのつながりの中で連携されていることが多く、成功大家さんが講師の場合は、著書では書き残すことができないような、セミナーだけで教えてもらえるマル得情報があったりもします。

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事