2018年の「かぼちゃの馬車」事件で、サブリースというワードがニュースで多く取り上げられました。
- サブリース契約を締結すれば、ラクに家賃収入が入ると聞いた
- 面倒な物件管理や確定申告はサブリース会社がやってくれると聞いた
- 将来の老後資金を目的に収益物件を購入した
今現在もこんな甘い言葉に誘惑されて、リスク面を十分に確認することなくサブリース契約を結び、不動産投資トラブルに巻き込まれている人がいます。
参考:消費者庁「サブリース契約に関するトラブルにご注意ください!」
このようなトラブルを回避するためにも、サブリース契約の仕組みに関して理解した上で契約を締結をしましょう。ここでは、サブリース契約の仕組みについて分かりやすく解説します。
目次
そもそもサブリースの「仕組み」とは
契約トラブルなどが多発していることから、サブリースという言葉を聞いたこともあると思いますが、実際にどのような仕組みなのでしょうか?ここでは、サブリースの仕組みについて解説します。
サブリースの仕組み
サブリースは、家賃保証制度(一括借り上げ)のことをいいます。サブリース会社が物件所有者の賃貸物件を借り上げて、入居者に転貸する仕組みです。物件所有者のオーナー様(貸主)は、空室率に左右されずに家賃保証が受けられるとともに、入退去手続きや滞納賃料の集金業務から解放されます。
しかし、委託料はかかるので注意しましょう。一般的に保証される賃料の相場は80%~90%ですが、労力をかけずに賃貸経営が行えるという恩恵が受けられます。
サブリースのメリット
アパート・マンション経営には、入居者募集・物件管理・退去手続き・家賃徴収などの業務を行わなければいけません。
不動産投資を始めたくても時間がない、体力面で物件管理が行えるか心配などの懸念を抱えた物件オーナー様でも、これらの業務をサブリース契約会社に委託できるため、何もせずに家賃収入が得られる賃貸経営システムが整うことが最大のメリットです。
サブリースのデメリット
サブリース契約は、業者側が儲かる仕組みになっています。アパート建築(建物)+サブリース契約がセットになっていることが多く、建築費用に運営管理費が上乗せされている場合が多いです。
一般的には建築費用の採算を回収しています。そのため、アパートを建てる前には、複数社の建設会社に見積依頼をして、建築費用の相場を確認して、適切な建築費用なのか確認することが大切です。
サブリースの流れ
サブリース契約の仕組みについて理解できたと思いますが、実際にどのような流れで契約を締結するのかを確認しましょう。ここでは、サブリース契約の流れをご紹介します。
1.物件現地調査
物件の現地調査をしてから、オーナー様とサブリース契約会社で想定の家賃収入など諸条件を決めていきます。中古物件を購入する場合は、リフォームが必要になってくることもあります。
2.管理会社との契約
一緒に決めたサブリース契約内容に問題がなければ、サブリース契約を締結します。契約締結後は、当該物件に関する一連の管理業務はサブリース会社が行うことになります。
3.入居者の募集
アパート・マンション経営などの賃貸経営において物件を貸し出すとき、直接、入居者を見つけることは困難です。サブリース会社が持つネットワークをフル活用して、入居者を見つける方法が一般的です。地域の不動産会社などに入居者募集を手伝ってもらいます。
4.入居審査
入居後に滞納などのトラブルを回避するために、入居審査を行います。入居審査では、本人の職業や年収、連帯保証人の職業や年収、クレジットカード審査、面談審査などが行われます。この入居審査は、サブリース会社側が行うのでオーナーが決めることはできません。
5.家賃集金
家賃滞納者に対して集金するのは気が引ける方もいますが、この業務も代行してもらえます。集金作業や入金者のクレーム対応など全て対応してもらえるため、オーナーは滞納に関する悩みを抱えずに済みます。
6.物件運営・管理
サブリース会社が一括管理してくれるため、賃貸経営のノウハウがなくても、マンションやアパートオーナーになることが可能です。
サブリースの仕組みの注意点
サブリースはトラブルが発生するケースが多いため、契約時には注意を払いましょう。ここでは、サブリース契約の問題点をご紹介します。
[chat face="Teacher.png" name="" align="left" border="none" bg="green"] サブリースという仕組みはメリットもあります。しかし、家賃保証があるから必ず儲かる!という認識は間違いです。サブリースの注意点をよく理解しよう。[/chat]
自己管理した場合より家賃収入が減る
サブリース契約会社によって家賃保証の割合は異なります。サブリース会社の言葉通りに従ってしまうと、低い家賃でサブリースを契約してしまう恐れがあり、全く採算が合わなくなってしまう事態になりかねません。
十分な家賃収入を受け取ることができなければ、何のために賃貸物件の経営をしているか分からなくなってしまうでしょう。そのため、いくらの家賃収入が得られるのか把握しておきましょう。敷金、礼金や更新料なども基本的にはサブリース会社のものになるため、自己管理した場合よりも家賃収入は減額となることを認識しておきましょう。
長期契約で家賃の引き下げが起こることもある
パンフレットには「家賃10年保証」と記載されていることがありますが、契約書の約定には、数年毎に家賃保証の見直しがあることが記載されています。
賃貸物件は、永久的に高い価値を維持し続けられることはありません。築年数が経過すると老朽化し、賃貸物件の魅力は半減していくことは、仕方がないことです。そのため、家賃の引き下げをしなければいけない時期が来ることも十分に考えられます。
10年保証と記載されていても、毎月決められた賃料が保証されているわけではないと認識しておきましょう。少しでも不安を感じる場合は、どれぐらいのペースで家賃の見直しがあるのかや、家賃収入の支払い日、契約期間や契約条件を明確にしておきましょう。
現状回復費用を負担しなければいけない
サブリース契約を締結する場合は、現状回復費用などは物件所有者が負担しなければいけないことが多いです。オーナーであれば、少しでも安くリフォームや修繕を行いたいと思うものでしょう。しかし、サブリース会社は提携先のリフォーム会社を紹介してきて、相場よりも高い修繕費用を請求してくれることも多いです。
また、サブリース会社の承諾なしに物件所有者が修繕できないと規約に記載されていることも多いため、修繕に関する取り決め内容も契約前に必ず確認しておきましょう。
家賃見直し時の契約解除が起こることもある
サブリース契約は、普通借家契約です。普通借家契約では、借主が保護されているため、借主が不利となる賃料改定条項は無効となります。そのため、家賃の見直し時に同意しなければ、サブリース契約が解除されることもあるなど、物件所有者が不利な立場となります。
また、解約後は、賃借人とオーナーの関係は、直接の賃貸借契約関係に変わることが多いです。しかし、解約時にサブリース会社の嫌がらせで、物件所有者に対して賃借人の情報を伝えないという事例もあるため、賃借人とスムーズに連絡が取れないというケースも少なからずあります。
サブリースでは差別化経営ができない
サブリース会社は、ハウスメーカーの子会社であるケースが多いです。そのため、不動産賃貸に強いわけではありません。空室が発生すると、基本的には地域の不動産会社に賃貸仲介を委託します。
サブリース会社は、取扱物件数が多いため、空室が発生しても機械的に処理することが多いです。そのため、賃貸物件管理で他物件と差別化を図ったりされることはありません。
まとめ
今回は、サブリースの仕組みについて解説しました。サブリースのメリットは、退去時の手続きや家賃の集金業務のアパート経営の手間が省けて、ノウハウがなくても簡単に賃貸経営ができる事です。
一定の家賃収入が得られるのが魅力となっていますが、知識がないまま、サブリース会社の提案を鵜呑みにして契約してしまうと、トラブルに巻き込まれる可能性もゼロではありません。
実際に
「不動産経営のプロだと思って信頼をしたのに騙されてしまった…」
「契約時に中途解約する場合は違約金が発生するなんて聞いていなかった…」
と後悔している人も多くいます。
そのため、不動産投資や賃貸経営、法律に関する勉強をして、本当に信頼ができる会社か自分で判断できるようになりましょう。そうすれば、不安は解消できるはずです。
[chat face="Teacher.png" name="" align="left" border="none" bg="green"] 投資仲間と業者に関する情報交換をしたり、セミナーに参加してサブリース契約に関する知識を深めておきましょう。 [/chat]不動産投資セミナー
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