2018年4月に公表された「住宅・土地統計の概数」の調査結果によると、全国の住宅総数は6242万戸、全国の空き家数は846万戸。全住宅に占める空き家の割合(空き家率)は13.55%となりました。この数字は、人口減少に伴い、今後も伸びていくと予測されています。
空き家を放置すると、老朽化して倒壊する危険性が出たり、放火による火災の恐れ、不審者の侵入などのトラブルが増えていき、近隣住民へ不安を与えしまいかねません。
このような空き家を有効活用するビジネスを考える方も増えてきていますが、空き家は新ビジネスにつながる可能性を秘めているのでしょうか?
ここでは、空き家ビジネスを考える上で把握しておきたい政策や、実際にビジネスで成功している事例をご紹介します。
目次
空き家ビジネスのための政策
増え続ける空き家対策のため、政府では空き家に対する優遇措置の撤廃などの政策の動きが出来ています。このような政策を把握しておくことで、新ビジネスに役立てることができるでしょう。ここでは、空き家対策のための行政の施策をご紹介します。
空き家に対する優遇措置の撤廃
2014年5月に「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行されました。この法律の施行により、条件に該当する空き家は「特定空き家」に指定されるようになり、自治体から管理者に対して指導や助言、勧告が行えるようになりました。
特定空き家の条件
- 放置すれば倒壊などの危険が出てくる恐れがある空き家
- 適切な管理が行われずに著しく景観を損ねた空き家
- 周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切と認められる空き家
特定空き家に認められて勧告を受けた場合は、固定資産税の優遇措置が受けられなくなります。そのため、空き家の土地が200㎡以下の場合は、毎年の固定資産課税額が6倍になってしまうので注意しなければいけません。
減税や補助金
空き家売却を促進させる目的として、2015年には、譲渡所得税に関する特例が設定されました。譲渡所得税とは、不動産売却した場合に発生する税金ですが、空き家が以下の条件に該当する場合は、課税評価額から3,000万円までの控除が受けられます。
減税の該当条件
- 相続日3年前まで、被相続人が居住していた家を売却する場合
- 耐震性のない建物の耐震リフォームをした場合
- 耐震性がないため取り壊して、土地を譲渡した場合
また、登録免許税も不動産価格の0.3%から0.1%へ引き下げられました。さらに、地方自治体では空き家対策のために、撤去費用やリノベーション費用の補助金・助成金を負担してくれるところもあります。そのため、空き家の売却や解体がしやすくなってきました。
民泊の規制緩和
近頃は、在日外国人が増加してきており、首都圏を中心に民泊予約を取りづらくなってきています。そのため、東京や大阪などの国家戦略特区に限定して、7日~10日以上の宿泊を条件付きで、旅館業法の適用除外とする民泊新法も登場しました。
空き家ビジネスの活用方法
空き家を放置したままにしてしまうと、高い税金が取られてしまうことは理解していただけたと思います。では、空き家をどのように活用すれば良いのでしょうか?ここでは、空き家ビジネスの活用方法をご紹介します。
メリット | デメリット | |
賃貸 |
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シェアハウス |
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民泊経営 |
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土地活用 |
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不動産売却 |
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空き家ビジネスの注意点
空き家の活用方法をさまざまですが、ビジネスを始める前には注意点についても押さえておきましょう。
日本の中古住宅は質が悪い
日本の中古住宅は、質の悪さでの問題があります。実際に、老朽化によって、空き家の価値は大幅に下がります。木造建物の法定耐用年数は22年と定められています。実際の建物の寿命は、メンテナンスなどによって大きく変わってきますが、老朽化した住宅の価値は、ほぼありません。
空き家の活用に躊躇する
空き家の状況によっては、大規模なリフォームやリノベーションが必要になることもあります。このような初期費用がかかってしまい、必ず収益が見込めるわけではなければ、空き家を活用しないという人も多くいるのが現状です。そのため、空き家を所有しているけど、空き家の活用に躊躇している方は一定数います。
需要に地域差がある
空き家が増えているのは、少子高齢化の過疎地域であったりします。地域経済が衰退している場所で仕事がない場合が多く、活力がない地域であることが多いです。
そのような過疎地域で空き家を活用しようするのは難易度が高いです。都心部であれば、需要はあるかもしれませんが、過疎地域では需要がないように、空き家の需要は地域差があります。
心理的な抵抗を持つ人も多い
相続した空き家には、仏壇が残っているケースも少なくありません。そのため、仏壇を動かしたくないとか、空き家に人を入れたくないなど心理的な抵抗を持っている人も多いです。また、賃貸借契約をすると、借地借家法が適用されるため、賃借人が保護されます。
そのため、実家から相続した家を貸すと、家が戻ってこないというイメージを持つ人もいて、今の住宅の状態を維持したいという人も多いです。
空き家ビジネスが定着していない
国内では、空き家の活用方法や管理方法が相談できる窓口が用意されていますが、まだ、多くの窓口はありません。空き家問題は、社会問題化されているものの、空き家活用は始まったばかりなのです。そのため、空き家ビジネスノウハウも確立されたものではありません。このように、ビジネスが定着していないため悩んでいる方も多くいます。
空き家ビジネスにおすすめの会社
適切な空き家の活用方法をすれば、ビジネスにつなげられることは理解して頂けたと思います。しかし、空き家ビジネスが定着していないため、運用方法が分からないという方も少なからずいます。
そんな方は、空き家ビジネスで実績を上げている会社に相談すれば、具体的なアドバイスが受けられるため、そのような悩みも払拭されるはずです。ここでは、空き家ビジネスにおすすめの会社をご紹介します。
株式会社プラットフォーム
株式会社プラットフォームは、空き家投資の実績を豊富に持つ不動産会社です。空き家の周辺環境を分析して、入居者ターゲットを選定。ターゲットに見合ったリフォーム工事を行います。
物件調査からリフォーム、賃貸管理までワンストップで依頼することができるため、空き家投資の中でも高い利回りを実現しています。そのため、空き家を活用して収益を得たい人におすすめです。実際に実績を持っているプラットフォームに相談をすれば、収益性を上げている空き家の成功事例も見せてもらえます。
空き家活用株式会社
空き家活用株式会社は、空き家の所有者と不動産会社を引き合わせるマッチングサービスを展開しています。空き家に関するノウハウを持っている事業とネットワークを構築しているため、お客様の悩みを解決してくれる業者を紹介してくれます。
また、物件情報も豊富に持っているため、空き家を購入して活用したいという方にもおすすめです。第三者の立場の機関が入ってくれるので、上手にサービスを活用すれば、不動産会社と安心して取引することができるでしょう。
株式会社S-FIT
株式会社S-FITは、デイサービスの事業も展開している不動産会社です。デイサービスの利用者から所有物件(戸建て住宅や賃貸物件)の活用相談を受けたことが始まりで、空き家対策の提案を行うようになりました。
改修工事を得意としている会社で、リノベーションプランが充実しており、賃貸経営を自分で行う「リノベーションプラン」、査定賃料の80%をS-FITが一定期間借り上げて経営代行する「リノ保証プラン」、工事費をS-FITが負担し査定賃料の10%を借り上げる「タダリノ」から選べます。そのため、原状回復して利活用したいという方に向いています。
空き家でビジネスを始める方は増えている
近年は、観光者向けの民泊経営をする方が増えてきているなど、空き家でビジネスを始める方は増えてきています。供給過多になっている空き家に注目したビジネスは、新たな政策や補助金が登場してきている背景もあり、今後、空き家ビジネスを行う事業者は増えていき、空き家ビジネスは活性化されていくでしょう。
空き家をお得にリフォームすることができて、新たなビジネスにすることも夢ではありません。
しかし、空き家ビジネスは定着しているものではなく、情報が少ないため、ノウハウを持つ会社に相談をしてみてください。実績を持つ会社に相談をすれば、手間なく簡単に空き家を有効活用できるでしょう。