日本で増え続けている空き家問題は、社会問題化されていますがご存知ですか?実家を相続する人も多くいるでしょう。しかし、相続した家の活用方法を具体的に話し合わない家族が多く、そのような結果、国内には放置された状態の空き家が増え続けているのです。
空き家を放置しておくと、発生する問題は何なのでしょうか?放置してしまうと、どのような悪影響が出してしまうのでしょうか?これらの空き家の問題を詳しく把握しておくことが大切です。そして、空き家の活用方法を具体的に考えていきましょう。
この記事では、空き家を放置することで起こる問題や空き家の活用事例をご紹介します。空き家を所有している方は、この記事を参考にしてみてください。
目次
相続から垣間見る空き家問題
空き家の問題が社会問題としても取り上げられていますが、なぜ、空き家問題は発生するのでしょうか?多くの方は、両親の実家の相続するはずです。そのため、相続面から垣間見る空き家問題について把握しておきましょう。
住宅を相続させたい親は約6割
国内トップクラスの相続支援業務を手掛けているランドマーク税理士法人は、戸建持家の相続に対する意識調査を実施しました。その結果、被相続人の親世帯の約60%は「自宅を子どもに相続させるつもりだ」と回答しています。
しかし、子どもに相続させると考えている親はいますが、相続後の活用方法は「子どもに任せる」と回答しているのです。活用方法までは、具体的に考えていない両親が多いことが、意識調査の結果で判明しました。
子どもの相続意識は低くて約3割
親の約6割が相続させる意思を見せたのに対して、相続の意思を見せた子どもは約3割という結果になりました。結婚や出産のタイミングも遅くなっている昨今、30代では持家に対する意識なども低いため、親との意識の違いが現れました。そのため、突然、実家を相続することになったという方も多くいるのです。
相続について話し合う家族は約3割
相続人・被相続人ともに「実家の相続について話をしている」と回答したのは3割となり、多くの人が、相続の話をしていない現状が浮き彫りになりました。相続に関して話す機会がなかったり、相続の話をしづらいというのが主な理由となっています。
このように、相続について具体的に話し合わないままの家族がおり、突然相続することになるため、放置された空き家が増え続けてしまうのです。
空き家問題を放置すると起こる被害
実家を相続する人はいますが、活用方法が分からずに放置する方が多いです。空き家となった住宅を放置すると何が問題なのでしょうか?ここでは、空き家を放置すると起こる被害について解説します。
老朽化による倒壊
日本の住宅の多くは、木で造られています。木造住宅は、定期的な換気や適切な管理を行わないと弱くなっていき、構造材としての役目を果たすことができなくなってしまうのです。その結果、小さな地震や台風などの自然災害に見舞われたときに、倒壊する建物も出てきます。倒壊すると、周辺の住民にも被害を及ぼしてしまいます。
景観の悪化
空き家を適切に管理しなければ、老朽化してしまいます。また、住人が不在の空き家は、不法侵入などされやすいです。景観の悪化は、治安の悪化や景観破壊の原因となります。近隣の方に迷惑をかけるので、空き家は適切な方法で管理・運営していかなければいけません。
不審者に狙われる
空き家は人の目がない家のため、不審者に狙われやすいです。家の中に家財道具や布団などが残っている住宅は、そこに不審者が住み込む危険性も。また、空き家には、ゴミが散乱していることが多いため、不審者による放火の可能性も高くなってしまいます。
補足:空き家被害は損害賠償金を払わなければいけない
空き家がもたらす損害は、空き家の所有者が賠償責任を負わされる可能性が高いです。また、損害賠償額が、数千万円から数億円と非常に高額になるケースも想定されるため、近隣住民の危険を及ぼさないように、しっかりと空き家を管理していかなければなりません。
空き家が倒壊してしまい、隣地家屋の全壊と死亡事故を起こした場合の被害総額は下記の通りです。
損害区分 | 損害額(万円) | |
物件損害等
|
住宅 | 900万円 |
家財 | 280万円 | |
倒壊家屋の解体・処分 | 320万円 | |
小計① | 1,500万円 | |
人身損害 | 死亡逸失利益 | 11,740万円 |
慰謝料 | 7,100万円 | |
葬儀費用 | 520万円 | |
小計② | 1,9360万円 | |
合計①+② | 20,860万円 |
空き家問題の解決事例
空き家を放置しておくことの損害は、大きなものだと理解していただけかと思います。実際に空き家は、どのように活用すれば良いのでしょうか?
空き家問題を解決するために、全国各地の事業者が動いています。活用方法が分からない方は、このような事業所に相談してみても良いかもしれません。ここでは、空き家問題の解決事例をご紹介します。
一般社団法人全国古家再生推進協議会(大阪府大阪市)
全国古家再生推進協議会は、築古民家を再生して、地域の防犯・活性化につなげることを目的として設立された一般社団法人です。それぞれの専門分野の専門委員の力を集結させて、放置された空き家や増える空き家を価値あるものに再生して、収益を生み出す仕組みづくりを行っています。
スクラップ&ビルドの街づくりを改め、再生街づくりを推進することで、町の防犯や活性化につなげる活動をしており、2020年5月地点で空き家の再生数は1,084戸を超えました。全国古家再生推進協議会では、空き家活用の相談が行えます。
兎に角(新潟県上越市)
2020年4月に新潟県上越市仲町の町家を改装した複合施設「兎に角」がオープンしました。新潟県上越市の雁木と町家の継承と活用を進める活動をしている一般社団法人「雁木のまち再生」が所有し、合同会社ニトデザイン&リビルドが施行・運営をしています。
1階では、飲食店経営と料理教室などのイベント開催を実施し、2階には3つ事業所が入る予定。空き家のリノベーションを実際に見てもらい、空き家活用を広げていく方針となっています。
わおん・にゃおん(東京都千代田区)
2020年5月にオープンしたのが、保護犬・猫と暮らす障がい者グループホーム「わおん」「にゃおん」です。障がい者グループホーム不足や空き家問題、ペット殺処分問題の解決・貢献を目的とした事業を展開しています。
保護犬や保護猫と一緒に暮らし、動物との触れ合いを通じて、心が癒されたり、コミュニケーションを促進するアニマルセラピー効果が期待できると共に、殺処分される犬や猫の命を救います。
まとめ
国内の空き家は増え続けていくと予測されています。
親が子どもに持家を相続する際に、相続の話は具体的にしても、活用方法は子どもに委ねるという方が多いです。子供は、突然相続されて、どのように空き家を活用すれば良いか分からなかったり、思い出の詰まった実家を取り壊せないなどの事情で、空き家をそのまま放置してしまうのです。
しかし、空き家を放置することは、近隣の方に多大な迷惑をかけてしまいます。
放置した空き家が倒壊などして被害を招いた場合は、損害賠償の対象となるので注意しましょう。そのため、空き家を所有している方は、これを機会に、空き家の活用を検討してみてください。
空き家活用の実績が豊富な会社に相談をすれば、不動産投資などで収益が得られるかもしれません。そのため、まずは、専門家に相談をしてみましょう。