不動産オーナーを悩ます「更新料減額請求」の適切な対象とは?

不動産投資オーナーの頭を悩ますものとして「更新料減額請求」があります。入居者にとって、更新料は家計の大きな負担となるでしょう。そのため、更新料を払いたくない理由で、引越しを検討する入居者もいます。

このような入居者から、更新料減額請求の相談を受けた場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。

ここでは、更新料減額請求の対処法についてご紹介します。

更新料減額請求の対処法

アパート一棟のイラスト
入居者に更新料減額請求をされた場合は、どのように対処すれば良いのでしょうか?2年間に1度訪れる契約更新日に頭を抱える不動産オーナーも多いはずです。実際に、更新料減額請求は問題になりやすいため、適切な対処法を身に付けておきましょう。

契約書の内容を確認する

入居者から更新料減額請求をされたら、最初に賃貸借契約書の内容を確認しましょう。契約書に更新料の支払い義務が記載されている場合は、入居者は更新料を支払わなければいけません。

その一方で、これらの記載がない場合は、入居者は更新料の支払いを拒否したり、減額請求したりできます。そのため、更新料減額請求された場合は、まずは契約内容を確認してみましょう。

周辺物件の賃料・更新料を把握する

所有物件の更新のタイミングが近づいてきたら、周辺物件のリサーチを始めましょう。周辺物件の賃料や更新料を把握する理由は、更新料減額請求で優位に立つためです。

入居者は「他の物件と比較して築年数が古いのに家賃が高いのは納得がいかない…」という理由を述べながら、更新料の支払いを拒否してきます。このような入居者の意見に対して「私の物件は無料ネット通信が含まれているため、他の物件と比較してもお得です。」と即座に返答できれば、更新料減額請求の交渉で優位な立場に立てるでしょう。

このような交渉を行えば、入居者側も術を見つけられず、諦めて更新料を支払ってくれます。

共有部分の劣化を確認する

所有物件の更新日のタイミングが近づいたら、共有部分の劣化も確認しておきましょう。劣化部分を見つけたら、修繕しておくことが大切です。

その理由は「共有部の劣化具合を受け入れる代わりに更新料を減額してくれますか?」と交渉してくる入居者がいるからです。このような交渉がされないように、共有部の劣化は早めに修繕しておきましょう。

最初から断らない

入居者側から、更新料減額の交渉をされた場合は、最初から断るのは避けましょう。キッパリと断ってしまうと、入居者が引越しを決断してしまう可能性が高くなります。すぐに次の入居者が決まる場合は、退去を命じても問題ありません。

しかし、簡単に入居者が見つかる確率は低いです。また、後述しますが、賃貸物件の需要は時期によって異なります。閑散期に退去されてしまうと、次の入居者が見つかるまで時間を要してしまいます。そのため、最初から断らずに、お互いの妥協点を見つけるようにしましょう。

▼相談事例をチェック!
公益財団法人不動産流通推進センター”賃貸事例0709-R-0016 更新料に関する諸問題とその対応

更新料減額請求で覚えておきたいポイント

更新料減額請求をされた場合の対処法をご紹介しましたが注意点もあります。ここでは、更新料減額の交渉上の注意点をご紹介します。必ず、覚えておきましょう。

賃貸物件の需要は時期で異なる

賃貸物件の需要は時期によって異なります。1Rや1Kなど単身者向けの賃貸物件は、進学や就職前の2月や3月が需要期に該当します。

例えば、不需要期(閑散期)に入居者に退去されてしまった場合は、次の入居者が見つかる確率が下がり、長期間、家賃収入が得られないという事態にもなりかねません。そのため、賃貸物件の需要を考慮して、入居者の交渉に応じるか検討してみてください。

1月 準需要期
2月 需要期
3月 需要期
4月 準需要期
5月 通常期
6月 不需要期 ×
7月 不需要期 ×
8月 不需要期 ×
9月 準需要期
10月 準需要期
11月 準需要期
12月 通常期

空室リスクとの損害額を比較する

更新料減額請求をされた場合は、空室リスクとの損害額を比較してみましょう。入居者が退去された場合、敷金で修繕・補修が行えますが、1ヵ月空室状況が続いてしまった場合は、更新料減額した方が損害額は抑えられます。そのため、更新料減額と空室リスクのどちらが損害が少ないかを良く把握しましょう。

他の有効手段を提案する

必ず入居者側の要望を聞く必要はありません。代替案を提案するのも交渉方法の1つです。例えば、入居者側から更新料減額が命じられたのを機会に、ネット通信料無料物件に切り替えるなどが1つの方法です。

物件に付加価値を付けておけば、入居者側も満足してもらえて、所有物件の価値を高めることもできます。そのため、更新料減額請求をされた場合は、代替案がないかどうかを考えてみましょう。

新型コロナウイルスで更新料減額請求が増加

コロナの影響で家賃が払えない人
参考:NHKWEB:「家賃払えない」給付金申請が90倍に 新型コロナ影響

新型コロナウイルス(COVID-19)で経済不況となっており、毎月の家賃が払えない入居者が増えてきています。毎月の家賃は支払えても、更新料が大きな負担と感じる入居者も少なくないでしょう。このような背景で、更新料減額請求された場合は、どのように対処すべきなのでしょうか?ここでは、新型コロナウイルス時の更新料減額請求の適切な対処法をご紹介します。

不動産オーナー側の対処法

家賃収入で生計を立てている不動産オーナーもいると思いますが、入居者と双方で相談し合って更新料について決めていきましょう。

このような状況で「更新料の減額はできません」と一蹴すると入居者側から反感を買ってしまう恐れがあります。そのため、入居者側に寄り添って、妥当な解決策を見つけていくようにしましょう。

入居者に「住宅確保給付金」を案内する

入居者が解雇や離職などの理由で、更新料が大きな負担を感じている場合は、厚生労働省の「住宅確保給付金」を勧めてみてください。

住宅確保給付金の申請は、入居者自身が申請しなければいけませんが、パートやアルバイト、フリーランスなどの支給要件が該当すれば、家賃補助がしてもらえます。家賃補助が認められた場合は、オーナーの振込口座に入金されます。

参考:厚生労働省”住居確保給付金 制度概要

固定資産税・都市計画税の減免を受ける

新型コロナウイルスに影響で更新料が受け取れなかった場合は、固定資産税・都市計画税の減免を受けましょう。一定の要件を満たしていれば、固定資産税・都市計画税が半額(最大で全額免税)になります。

固定資産税の減免が受けられれば、更新料減額請求の影響を緩和させることができるでしょう。減免される固定資産税・都市計画税は、2021年度の税金となります。今年度の税金ではないため注意してください。

メンテ対処と情報収集をして交渉に優位な立場であること

更新料減額請求に対応するオーナー
今回は、不動産オーナーが頭を悩ます更新料減額請求時の対処法について解説しました。

新型コロナウイルスの影響で、更新料減額を希望する入居者が増えてくるでしょう。

そのため、最初から減額できないと伝えるのではなく、更新料減額を希望する理由を聞いてみてください。
新型コロナウイルスの影響で離職、解雇された入居者など、病むを得ない事情がある場合は、双方が納得できる方法を探してみましょう。

それ以外の場合は、交渉に優位な立場になることが大切です。

そのため、更新日前に市場調査や建物のメンテナンスをしておきましょう。このような対処法を取っておけば、更新日に頭を悩ますこともなくなります

更新日が近づくにつれて不安に感じる不動産オーナーは、不動産投資セミナーで賃貸経営に関する知識を深めましょう。そうすれば、さまざまな場面でベストな対処を選択することができるようになります。

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