外国人旅行者が増えるにつれて、民泊経営に興味を持つ人は増えています。しかし、「民泊経営は、どのように始めるのか分からない」「民泊経営を行う上で必要なことはあるのだるか?」という悩みや疑問を持っている方は多いです。
民泊経営を始める前には、どのような手続きや運用が必要になるかをきちんと把握しておかなければいけません。そのため、民泊経営に関する正しい知識を身に付けましょう。
この記事では、民泊経営を始める場合の手続きの流れや、運営時に求められることにについて解説します。これから、民泊経営を始めようと検討している方は、この記事を参考にしてみてください。
目次
民泊経営を始める場合の手続きの流れ
民泊経営を始めたいと思った際に気になることは、手続き方法ではないでしょうか?実際に民泊経営を始める場合は、民泊認定書を取得するための手続きが必要になります。ここでは、民泊経営を始める場合の手続きの流れについて分かりやすく解説します。
1.事前相談
まず、民泊経営を始める場合は生活衛生課に相談をします。また、必要に応じて消防署や建築審査課との協議も必要です。民泊経営で出てくるゴミは事業系廃棄物となるため、どのように取り扱うかも事前に確認しておきます。
事前相談では、民泊認定の審査の合格基準などが説明されるため、説明されたことを満たせば審査は合格します。
2.近隣住民への周知
民泊経営は不動産賃貸業になるため、近所との関係は軽視できません。地域の慣習なども考慮して、状況を踏まえて気持ち良い民泊経営を行えるように、近隣住民へ案内を出します。必要に応じて説明会が開かれる場合もあるので注意しましょう。
3.申請
近隣住民の周知が終わり、許可が下りたら、申請書を提出して手続きを始めます。手続きに必要な申請書は、自治体のホームページからダウンロードできます。申請書と提出する書類として、施設図面や賃貸借契約書が必要です。
4.書類審査
申請書に必要事項を記載して必要書類と併せて提出したら、自治体が審査を開始します。審査合格基準については、事前相談で教示されているため、審査自体は厳しいものではありません。
5.現地調査
民泊経営の施設を一緒に調査して、提出した図面と一致しているかや、民泊経営を始めて問題がないかどうかが調査されます。
6.認定
申請書の審査や現地調査の結果、問題がなければ民泊認定書が交付されます。この認定書を受け取ることで、民泊経営を開始することができます。
補足:1人で手続きができない場合は専門家に相談
これまで、民泊経営を始める場合の手続きについて解説しましたが、申請書の作成が難しく感じてしまう方もいるでしょう。そのような場合は、自治体の窓口担当者に聞いてください。担当者が丁寧に申請書の作成方法を教えてくれるはずです。
また、民泊経営の手続きの手間を省きたい方は、法律事務所や行政書士事務所に依頼してみても良いでしょう。少しでも悩んだ場合は専門家に相談することをおすすめします。
民泊経営で求められる7つのこと
民泊経営で求められる7つのルール
- 衛生の確保
- 安全の確保
- 利便性の確保
- 宿泊者名簿の備え付け
- 宿泊者の本人確認
- 必要事項の説明
- 近隣住人からの苦情の対応
民泊経営を始める上では予想もしない緊急事態が発生する恐れもあります。そのため、民泊経営を始めるには、守らなければいけないルールが定められているのです。ここでは、民泊経営で求められる7つのルールについてご紹介します。
1.衛生の確保
感染症予防の観点から、寝室のシーツやカバーなど人に直接触れるものは、宿泊者が入れ替わるごとに取り替える必要があります。危篤な症状を引き起こす恐れのある感染症を罹患している宿泊者がいた場合は、保健所に通報するとともに寝具類は消毒・廃棄するなど必要な措置をしなければいけません。
基本的にはホテルや旅館に準ずるサービスに該当するため、宿泊者が退室後には、部屋の掃除やリネンの洗濯など行わなければいけません。これらの業務を委託することもできますが、自分自身で行っている方も多くいます。そのため、必須条件ではありませんが、衛星管理のための講習会の受講が望ましいとされています。
2.安全の確保
宿泊施設には、非常用照明器具の設置や避難経路の表示など、災害が発生した場合における宿泊者の安全の確保を図らなければいけません。50㎡以下の宿泊施設には、非常用照明器具は不要とされていますが、家主不在型の民泊が多いため措置が必要となります。
3.利便性の確保
宿泊者が安心して宿泊できるように、外国語を使用した設備の使用方法などの利便性の確保を図らなければいけません。また、必要事項が記載された書面を居室に備えたり、タブレット端末を設置します。
また、最寄り駅までの経路や利用可能な交通機関、緊急時の通報連絡先に関する情報提供も怠ってはいけません。
4.宿泊者名簿の備え付け
宿泊者名簿には、氏名・住所・職業を宿泊者全員に記載してもらわなければいけません。代表者氏名だけの記載は認められないため注意してください。
また、外国人宿泊者を宿泊させる場合は、国籍と旅券番号の記載もしてもらいます。これらの名簿は届出住宅に備えておきます。
5.宿泊者の本人確認
宿泊前に、宿泊者の本人確認を必ず行わなければいけません。本人確認は、対面また同等の手段で行う必要があります。ICT化で本人確認をインターネット上で行うこともできますが、その場合は顔と本人確認書が明確に識別できるものでなければいけません。
また、宿泊者が本人確認できるものを持っておらず確認が取れない場合や、本人確認を頑なに拒否する場合は、宿泊させてはいけません。場合によっては、警察署に連絡する必要もあります。
6.必要事項の説明
近隣の方に迷惑がかからないように、騒音防止のために配慮すべき事項、ゴミ処理に関して配慮すべき事項、火災防止のために配慮すべき事項を宿泊者に説明しなければいけません。この説明は、対面で行わなければいけないというものではなく、居室に説明書を備え付けるだけで良いとされています。
7.近隣住人からの苦情の対応
民泊経営を行う上で、近隣住人から苦情が発生した場合は、速やかに対応しなければいけません。滞在中の宿泊者が原因で苦情が発生している場合は、宿泊者に注意喚起をします。それでも、態度が改まらない場合は強制退室を求めなければいけません。
緊急の対応を要する場合は、必要に応じて警察署・消防署・医療機関に連絡したのち、自らも現場に行き対応します。
まとめ
ここでは、民泊経営を始める前に必要な手続きと、民泊経営を行う上で求められることについて解説しました。必要な手続きをせずに、民泊経営を始めると違法行為に該当してしまうため注意しましょう。
また、民泊事業者は宿泊者の安全を確保しなければいけません。そのため、民泊経営を始める前には必ずルールなど基礎知識を覚えておきましょう。
これから、日本を訪れる外国人旅行者は増えていくと予測されているため、民泊経営は非常に魅力ある不動産投資方法です。しかし、どのような方が宿泊するか不鮮明であり、近隣の方にご迷惑をかけてしまう可能性もゼロではありません。そのため、民泊経営を始める場合は、基礎知識を身に付けて、正しい手順で民泊経営を始めてみてください。